2024年 4月 24日 (水)

東京スカイツリーもう一つの世界的技術―地中熱ですべて冷暖房

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   エネルギーの有効利用に熱い視線が向けられている。化石燃料のエネルギーのうち、発電などで利用しているのは3分の1、残りは排熱という形で捨てられている。それ以外にも、利用可能なエネルギーが身近にあった。アッと驚く、目からウロコの探訪である。

「捨ててる熱」「眠れるエネルギー」徹底利用

   群馬・太田市のある工場の自家発電機には続きがあった。発電で出た排熱をボイラーに導き空調に使っているのだ。「これで夏の冷房はまかなえます」という。コージェネレーションというのだそうだ。福島原発事故以来、設備を売っている会社には注文が殺到。昨年(2012年)実績は前年の15倍になった。

   堤敦司・東大教授は「エネルギーは使い捨てるのが前提だった。しかし、循環できる、繰り返し使える原理を見つけ出した」という。物体は圧縮すると温度が上がるというだれもが知っている原理がもとだ。排熱は当然温度が下がる。これを圧縮して再び高温にして再利用・循環利用するのである。昨年4月からの10か月間の実証実験で、圧縮エネルギーを含めても、燃料の消費を7分の1にできた。実験をした新日鉄エンジニアリングも「半信半疑だったが、理論が実証された」と驚く。

   熱を持ち運ぼうという試みもある。排熱を利用して水から水素を取り出すのだ。水素なら保存も持ち運びもできる。しかし、水蒸気を分解して水素を取り出すには、酸素だけを通すフィルター(電解質)と1000度ものの高温が必要だ。九州大の石原達己教授は新たな電解質を求めて、3年がかりで200種類の元素の組み合わせを探った。そして、300度で可能なものを見つけ出した。石原教授は「時間と空間を超えた。さらに低い温度で可能になれば産業化もできる。世界の省エネの大きな柱になる」という。

   富士通総研の梶山恵司主任研究員は「これらはこれからのエネルギー政策の根幹になるべきものだ」という。また、「21世紀の経済のあり方にもつながる」として、ドイツと日本の違いを示した。過去10年、ドイツではGDPの伸びにつれてエネルギー消費は減っている。対して日本は、両方ともに増えていた。ドイツの秘密は、2000年に導入した再生可能エネルギー電力の買い取り(日本はこの7月から)と、03年のコージェネレーション電力の買い取り制度だった。日本は80年代後半、原油が安くなって省エネ研究が止まった。省エネ大国が聞いてあきれる。

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