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麻薬Gメン「沢尻エリカに重大な関心」大麻だけじゃない依存症

「エリカは、離婚騒動がはじまる前に、エイベックスの松浦勝人社長に会ったと言いました。松浦社長は彼女に『スターダストから、大麻の件を聞いている。ドラッグ検査の際のやりとりの録音も持っている』と話したということです。
   そして、『高城と離婚することがエイベックスとの契約の条件』とし、『俺が離婚させてやる。マスコミはどうにでもなる』と話したというのです。
   弱みを握られたエリカは、『エイベックスに行くしかない』と話していました」

   先週号で「沢尻エリカは麻薬中毒」と書いた「週刊文春」が、今週は夫の高城剛を直撃インタビューし、この驚くべき証言を引き出している。

ロンドンの治療施設で立ち直ったがスペインで合成麻薬

   彼女の前の所属事務所「スターダスト」は、俳優の押尾学や酒井法子が覚せい剤取締法違反で逮捕、検挙されたため、2009年9月に事務所をあげて所属タレントの薬物検査を実施し、沢尻が大麻常習者だとわかって契約解除した。その通知書を文春は手に入れたが、そこには「平成21年9月10日に本人の同意のもと薬物検査をしたところ大麻について陽性反応が示され、本人は大麻使用の事実を認めた上で、今後大麻の使用を止めることはできない旨を表明したことなどが、専属契約の第9条に該当することによるものです」と、契約解除の理由が書かれていたが、高城はこう語っている。

「当時、僕はスターダストの事務所に呼び出され、取締役F氏とマネージャーのK氏から、この件について直接聞きました。書類は間違いない」

   そこで高城は滞在していたロンドンで、彼女を現地の代替治療施設に通わせたという。その治療がうまくゆき、彼女が立ち直ったように見えたので結婚したのだそうだ。その後、エリカからの一方的な離婚表明などがあったが、エリカの弁護士からの仲介もあり、二人で身を隠すためにスペインに向かったという。

   バルセロナでは部屋に閉じこもっていることが多かったが、彼の地の自称「大麻インストラクター」のセルジオと知り合い、再び薬物にはまっていった。セルジオはエリカと寝るとき、エクスタシーという合成麻薬の一種も使ったと証言している。これを高城にぶつけると、エリカ本人から聞いたと裏付けている。そして、「僕はエリカに何度も(薬物から)立ち直るよう説得してきました。ところが、そのたびに彼女の周囲にいる仕事関係者や友人は『エリカらしいから大丈夫』、『そのままでいい』などとそそのかし、彼女の更正を阻んだのです」

   彼女は最後に高城に「ファック!」と叫び、壁にコーヒーカップを投げつけ、帰国してしまった。

高城剛「TBSは薬物問題知っていたはずなのになぜか起用」

   さらに文春は重大な疑惑を提起している。それは「TBSは薬物を認識していた」ということである。エリカは09年に「スターダスト」をクビになり、ヒロイン役に内定していた映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」を降板させられるのだが、その制作委員会にTBSも名を連ねていた。高城は、当時の制作委員会の人間から、TBSにも薬物検査の結果が「スターダスト」から伝えられていると、ハッキリ聞いているというのである。

「なぜ、ヤマトでエリカを降ろしたTBSが、エリカを再びドラマ(「悪女について」=筆者注)に起用するのか。薬物問題はどうパスしたのか。理解できません。エイベックス、スターダスト、TBSなどのメディア、そして取り巻きのクリエイターたち‥‥。エリカの薬物を認識する人は複数います。それを見て見ぬ振りを決め込み、握り潰し、夫を黙らせようとする。
   そして、エリカの弱みを握り、裸にして、カネにしようというのが、このたびの離婚騒動に隠された真相なのです」(高城)

   大芸能プロやTBSを巻き込んだスキャンダルだが、「エイベックス」や「スターダスト」に恐れをなしたか、このことを一部の夕刊紙を除いて、ほとんどの新聞、テレビが取り上げることはなかった。

   文春は厚労省の現役麻薬Gメンに「重大な関心をもっている」と語らせている。星薬科大学の鈴木勉教授は「よく、『大麻はタバコより害がない』という声を聞きますが、大麻の『精神的な依存性』はタバコのニコチンよりかなり強い。大麻は『ゲートウェイ・ドラッグ』とも呼ばれ、合成麻薬など他の薬物に繋がる可能性が非常に高く、幻覚が見える・眠気に襲われるなどの作用があります」

   大麻所持の公訴期間は5年だから、今回のケースで時効は成立していない。7月に映画「ヘルタースケルター」が封切り予定だが、この大騒動、どこまで行くのだろうか。

サンデル教授の公開授業「3・11は日本の民主主義の新たな始まり」

   話は少し変わるが、5月28日(月曜日)、国際フォーラムで開かれたハーバード大学マイケル・サンデル教授の公開授業に行ってきた。早川書房と国際フォーラムの記念事業とあって、一番広い5000人収容のA会場がほぼ満員だった。

   サンデルは政治哲学者である。テレビでおなじみのやり方で、サンデルが問題提起し、賛成か反対かをパンフレットの裏表で表明させ、反対、賛成の人間を指名し議論させていく。彼のやり方のいいところは、指名した人間同士に議論させるが、自分では結論を出さず、あくまでも発言者に考えさせるところである。

   まず、市の命名権の問題から入り、自分の名前を企業が買いたいといってきたらあなたは売るかと発展させ、レディ・ガガのチケットをダフ屋が売るのは賛成か否かを問い、では中国の病院で患者が多いために整理券を出しているところがあるが、これをダフ屋が患者に売りつける行為は是か非かと展開させていく。

   おもしろかったのは、アメリカの一部の学校では、成績が上がったら5ドル、本を読んだら2ドルあげるというところがあるが、どう思うかというのがあった。サンデルがいうには、成績を上げるためのインセンティブは失敗したが、本を読むほうは成功した例が多いそうだ。だが、子どもたちは本を読むようにはなったが、短編ばかりで長編を読むようにはなっていないというのが笑える。

   スイスでは核廃棄物を処理するための施設をある村に申し出たところ、村民投票で51%が賛成したという。そこで国は、村民一人当たりかなりの額の補償金を出すと申し出たところ、もう一度村民投票をしたら賛成が25%に減ってしまったが、なぜかと問いかける。サンデルによると、最初は社会的使命を果たすという心づもりが村民にあったが、カネでそれが汚されるという気持ちになったために減ってしまったと、解説していた。

   サンデルは、日本の民主主義はまだこれからだが、3・11の東日本大震災以降、日本人全体が「主張する」「発言する」「議論する」ようになってきた。これが日本の民主主義の新たな始まりになると思うという言葉で締めた。なかなか刺激的な夜であった。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか