フェイスブックで夢は叶ったのか壊れたのか…知りたい相手のことがすぐわかる辛さ

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   子供の頃の夢がかなった。そう思った人も多かったんじゃないだろうか。かつて、ユーミンはこう歌っていた。「魔法の鏡を持ってたら、あなたのくらしを映し、ブルーにしていたなら偶然を装い電話をするわ」と。

   恋をしている人間は古代からそう願い、叶わぬ想いに地団太を踏んできた。それがフェイスブックの登場で夢はかなった。相手が自分の行動や考えていること、情報をアップする限り、どこで何をしているのかリアルタイムでわかる。また、過去をさかのぼっても、相手の行動が手に取るようにわかる。まさに、ユーミンが歌っていた魔法の鏡を持ってしまったわけだ。

   だが、これはこれで辛い。相手の行動がわかるということは、自分とのすれ違いもわかってしまうということだ。昔は嘘を嘘と知りつつ容認できたことが、今ではできない。さらに、知りたい相手をマークして、優先的にその人の情報を知ることができるサービスが始まってしまった。相手にはマークされたことは通知されないという触れ込みだが、これではまるでストーカーである。かくいう私も、知りたい人物にマークしてしまったわけだけど、どうも罪悪感が残る。何やってんだろと自己嫌悪。技術の革新は恩恵でもあり、心の負担にもなる。

平均4・7人介せば目指す相手にたどり着く怖さ

   さて、フェイスブック離婚やフェイスブック不倫、フェイスブック女・男遊びなどと世の中騒がしいが、昔の恋人を発見すると懐かしさから連絡を取り合い、やけぼっくいに火がついてしまう気持ちはわからなくもない。

   その昔、6次の隔たりという概念が発表された。アメリカの心理学者が唱えた「6人の知人の連鎖を介せば世界中のどんな人にもたどりつける」という理論。今から30年以上前に行われた実験から生まれた理論だ。しばらくは忘れられ、その後あまりこの理論に対して検証もされなかったというが、フェイスブックの誕生により再検証されることになったという。

   その結果導き出されたのは、平均4・7人でフェイスブックユーザー同士がつながっていることがわかった。これはフェイスブックとミラノ大学のウェブアルゴリズム研究所が共同でおこなった調査で、なんだ手前味噌じゃないか、企業が宣伝を兼ねて都合のいい情報をアンケート調査するのと一緒だと憤慨したくなるが、その調査対象者数がスゴイ。なんと7億2100万人。この世界人口の10%以上の人達は、フェイスブックをよく使っているユーザー数なんだという。去年の5月に、この7億2100万人の690億人の友達関係を対象に調べたところ、ユーザー同士が通じあうのは、6次の隔たりよりも近い4・7人だったというのだ。なんだか、利用者としてはうっすらとした実感を覚えることができる。

番組企画であげたらあえなくボツ

   以前携わっていた番組で、この理論を紹介しようという動きになった。担当ディレクターはじめ制作陣一同、新しい情報を手にして鼻息が荒い。視聴者にもリアルタイムな新説で自分の身に還元しやすい話題だと嬉々としていた。新説を掘り出してきたリサーチャーの男の子もホクホク顔。いざ、局Pへ「この情報を番組に盛り込もう」とプレゼンした。しかし結果はボツ。「6次の隔たりも平均4・7人の隔たりもこすられまくりでしょ」と一蹴されてしまった。要は有名な話だから、却下しましょうということ。6次はまだしも、4・7人もそんなに有名な話だったのか?と制作会社のプロデューサーは首をかしげ、何か問うようにこちらを見てくる。ここは素直にとぼけよう。「あの方、フェイスブック使いすぎぐらい使ってるから、ご存知だったんじゃないですか」とお茶を濁すしかない。

モジョっこ

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