2024年 4月 25日 (木)

映画館出て衝動買い・マスカラ落ち注意!泣きとため息の30代キャリア女性「生き方」

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(C)2012
(C)2012"GIRL"Movie Project

ガール>女の子の半分はピンク、半分はブルーでできている。素面で聞くと、恥ずかしくて顔から火が出そうなセリフである。でも、そのクサさがいい。

   広告代理店勤務29歳。ひらひらキラキラ至上主義。「イタくなりつつある」夢見がち女子を香里奈が熱演している。明るい茶色の巻き髪にミニドレスと、若作り感を出すための衣装がどれも可愛くて、でも微妙に疑問符付きの「イタい?」を醸す。

   とはいえ、新しく買ったワンピースを着込み、とっかえひっかえ靴やカバンの組み合わせを試す「1人ファッションショー」のシーンは、「ああ、なんて女子」とため息をつきたくなる愛らしさである。傍目には全部同じに見えるビビッドピンクのハイヒールも、最初のはプラットフォーム、次のはウェッジソール、最後のはストラップ付きのピンヒールと、いや、やってくれます。当人にとっては全然ちがう靴なのです。ニヤニヤしちゃう。いくら広告代理店勤務でも、こんな家賃の高そうな部屋(異様に広い。ウォークインクローゼットが何畳あるんだってレベル)には住めないよ、という心のツッコミはしまっておくことにしましょう。

贅沢に揃えた女優陣―香里奈、麻生久美子、板谷由夏、吉瀬美智子

   ストーリーはそれぞれのオフィスや仕事にはげむ30代のキャリア女性の悩みや葛藤を描いていて、香里奈の脇を固める女優は、年上の男性部下に手を焼く管理職OLの麻生久美子、6歳の一人息子を持つ総合職シングルマザーの板谷由夏、モテ度外視の仕事命OLの吉瀬美智子の3人。豪華なのは自明として、これが結構みんな揃ってはまり役なのである。

   そして、要潤演じる男尊女卑の「団塊か!」なサラリーマンが憎いこと、憎いこと。現実には、こんな「根っからの悪役」は少ない。それはそれとして、男子同士の「だから女子は」という言葉に、悔しかったり、悲しかったりしたことのある女は多いはずだ。自分とかぶって、共感の泣きを連発です。

   ちょっと主人公が「おしゃれ」を第一義に置きすぎている気はするけれど、こんなに女特有の「被害妄想って思われるかもしれないけど、実際そうなんだもん!」なモヤモヤを描こうとしてくれる話はなかなかない。

オジサンは「甘ちゃん女の自己肯定」にウンザリかな

   監督は「白夜行」で堀北真希の美と冷たさを引き出しまくっていた深川栄洋で、期待通りに女の子を撮ってみせた。「毛穴、見えちゃうよ!」と余計なお世話を焼きたくなるまでに顔面のアップを連発する。なのに、陶器のように美しい麻生久美子のお肌、そして目ヂカラ。真正面から女の子の顔を見て、ほれぼれしたのは久しぶりだ。目もと、口もとだけでも、演技ってあるのね。目が離せない。「相手を挑戦的に睨みつけているけれど、実は泣くのを我慢しているとき」の表情とかがたまらないなぁ。

   加えて、原作(講談社刊「ガール」奥田英朗)ファンとしては、「このエピソードは入れてくれないとぉぉぉ」と省略に涙を呑むところもちろんある。けれど、全体としては「お金払ったかいがあった(ゲッソリ)」といった感覚。ゲッソリしているのは、泣きに泣いて、マスカラが目の下にこってりという状況ゆえです。しかし、右隣の席のおじさんは、あくび連発の末に上映中に2回も席を立つご乱行だったので、中年以降の男性にとっては「甘ちゃん女の自己肯定」にイライラする作品なのかも。

   特筆すべきは衣装。すごく可愛い。SATCのお洋服は憧れのハイファッションだけど、「ガール」の服はリアルクローズ。そして、元気の出るストーリーとあいまって、お買いもの欲は急上昇。帰り道は「自分へのご褒美」症候群にご注意ください。

(ばんぶぅ)

おススメ度☆☆☆☆

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