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仙谷セクハラ裁判で女性記者証言「65歳だからもう立たないとおっしゃいました」

   「週刊新潮」に注目記事が3本ある。ワイドの1本だが、「身内から『恥さらし』の声も上がるセクハラ『仙谷由人元官房長官』」がおもしろい。女性記者へセクハラ発言をしたと書いた新潮を訴えていた裁判で、件の女性が証人出廷して、仙谷が彼女にこういったと証言したのだ。

「私たちのところのグループに来たとき、どういう風な話の流れかはわかりませんけれども、非常に大きな声で笑いながら、65歳なので、もう立たないんだよというふうにおっしゃいました」

   おかげで、そんな発言はしていないと主張していた仙谷に裁判長が、「立つ、立たないということについては、一切発言がないというご主張だと思っていたんですけれども、きょう聞いたら、それは違うんですね」と突っ込まれ、うろたえていたというのだ。

   新潮は「もし、女性記者の証言が無ければ、われわれも週刊文春(同じように訴えられている=筆者注)も敗訴していたかもしれない」と書いている。仙谷の品性がよく出た裁判である。

病気の早期発見も金次第「新型うつ病3000円、アルツハイマー20万円…」

   もう1本は作家・楡周平の連載コラム「考えない葦」が始まった。彼の作品は読んでいるが、エッセイは初めてである。第1回は彼がかつて在籍したイーストマン・コダックについて書いている。つい十数年前までは、アメリカのエクセレント・カンパニーと謳われた会社の素晴らしさから書き起こし、その会社がなぜ会社更生法を申請するまでになってしまったのかは以下次号だが、楽しみな連載である。

   3本目はDNA情報など遺伝子研究が進んでいるが、3000円から調べられる「自分情報」があるという特集。「ACTN3」という遺伝子は、陸上や水泳での短距離のパワー・スプリント系、長距離の持久力系、その中間向きであるかが1万3500円で分かるという。隠れている脳梗塞を発見してくれる「脳梗塞リスクマーカー」は7000円。新型うつ病が大きな問題になってきているが、前頭葉から側頭葉にかけての血流量の変化を測定し、脳の機能を分析することで、うつ病を見極めようという検査である光トポグラフィーは1回3000円だそうだ。

   その他、96種類のアレルギーを判定できる判定キットは2万8000円。アルツハイマーの初期の神経細胞死滅を見つけるPET検査は20万円。がん抑制遺伝子とがん促進遺伝子の解析は14万円也だそうだ。これからは病気の早期発見も金次第ということになりそうである。

指原莉乃「HKT48左遷」で泣き腫らし顔―「週刊文春」意地が悪いねえ

   先週の「週刊文春」がAKB48指原莉乃の元カレの告白を掲載したが、総合プロデューサーの秋元康の勘気に触れたようで、博多にあるAKB48の姉妹グループHKT48に「左遷」されてしまった。文春はモノクログラビアでも「泣き腫らした素顔の指原莉乃」の写真を掲載している。この徹底した意地の悪さが文春の持ち味ではあるが。やはり先週号で小沢一郎の妻・和子の「離縁状」を掲載した反響を、立花隆などに喋らせているが、こちらはどうってことはない。

   ここまで文春が突っ走ると、他の週刊誌は大丈夫なのかと心配になるが、トップの特集を眺めてみてもどれもピントこない。「最後のスター 橋下徹が殺される」(週刊現代)、「本誌が掴んだ高橋克也逃亡12日間全真相」(週刊朝日)、「オウム17年の終焉 警察vs高橋容疑者『攻防12日間』の一部始終」(サンデー毎日)、「中国領土化する日本 知らぬ間に『侵略』される危険な領土大地図帳」(週刊ポスト)、「『石原伸晃自民党幹事長』が漏らした選挙日程9月9日大安」(週刊新潮)。これならば「週刊アサヒ芸能」の「松たか子『悶絶オナニーと漆黒ヘア』」のほうが読みごたえがある。

「週刊ポスト」の言い得て妙「大連立は議員の選挙互助会」

   ポストは風変わりな週刊誌に変貌しつつあるようだ。高山文彦の「宿命の子 笹川一族の神話と真実」や青木理の「狂った牙 最強権力ー特捜検察の盛衰」はノンフィクションに力を入れているということで分かるが、「現場の磁力」という連載で石和鷹という作家を4回連続で書いたのには驚いた。女に溺れ、喉頭がんのため声を失った「修羅」を生きる作家の生き方は壮絶で読みごたえはあるが、週刊誌よりも文芸誌のテーマだなと、読みながら思わざるをえなかった。

   それと編集長の好みだろうが、「主張記事」が多い。今週の「私は小沢一郎が嫌いだが『増税反対』は絶対に正しい」などが典型か。もちろん私も増税反対だが、小沢を持ってこなくてもいいのではないか。文春の小沢の妻の手記を読んでいると、何か白々しい気分である。だが、「『大日本増税党』邪マニフェスト 本誌があなた方の本音を代筆して差し上げよう」のなかのこの一節は気に入った。

「いま選挙をやれば民主党はボロ負け、自民党にも有権者の支持はない。そこで総選挙を先送りして大連立を組み、自公民で増税と再稼働をやれば、有権者は選挙で怒りのやり場がなくなる。議員の身分を守る選挙互助会の発想だ。大連立派のマニフェストを清書するとこうなる。
一、有権者に選択肢は与えません。政治家が安心して生活できる環境整備に励みます」

   たしかに、消費税増税も原発再稼働も同じでは、選挙をやったらどこも惨敗するに違いない。仕方なくみんなの党や維新の会に入れるしかなくなる。それを知っているから、解散・総選挙などするはずがないのだ。

   このところいい軟派記事に飢えている。現代、ポストの編集者諸君、もっと智恵を出しとくれ!

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか