澤村一樹「7・3分けにデカ顔」清張名作ていねいな作りで昭和30年代彷彿

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「松本清張 没後20年特別企画 波の塔」(テレビ朝日)2012年6月23日21時~

   清張作品の中でも特別有名な「波の塔」をテレビドラマ化するのは勇気がいる。そもそも原作の昭和30年代を現代に移せば話の根底が成り立たない。官憲(!?)の正義も権威も地に堕ちた今の時代と違い、当時はまだ検事は正義を全うする職業だったから、この主人公のように検事が愛に身を投じると様々な軋轢をよんだのだ。
   なかなかよく出来ていた。検事・小野木喬夫(澤村一樹)の7・3分けのヘアースタイルとデカ面の昭和顏、建物や車や家具類の時代考証、女のファッションと言葉遣い、いずれも丁寧なセットが使われており、人物の動きもゆったりとしていて時代を感じさせた。「土ワイ」と揶揄されるように呼ばれたこの時間枠が、決して暇つぶしドラマだけではないぞと主張している作り手の心意気が見える。
   赤坂のキャバレーの踊り子が殺された。犯人は政財界を蠢くブローカーの1人であったが、巨大な汚職の渦中にあった人物が無理やり犯人に仕立てられ、彼は自殺を装って殺されてしまう。小野木は汚職摘発の担当検事であるが、山梨で出会った謎の女・頼子(羽田美智子)と恋に落ち、こともあろうに彼女がブローカーのボス(鹿賀丈史)の妻だったので・・・。オチが面白い。小野木は上司や同僚の前で、頼子と関係があったと正直に告白するが、寄ってたかって報道はでっち上げだとされて守られるのだ。頼子が消える場所が富士の樹海というのもこの時代らしいし、物語の余韻に寄与している。

(黄蘭)

採点:1.5
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