2024年 4月 25日 (木)

復興特会むさぼるシロアリ役人―被災地予算で給料お手盛り!財源は臨時増税

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「誤解されてるみたいだけど、オレたちは『政治主導』が嫌なんじゃない。『バカな政治家のアホな主導は無視する』だけ。もし橋下がオレたちをうまく活用する気があるなら、いくらでも力は貸す。反対に公務員叩きで人気を取るだけの邪魔者なら、消えてもらうしかないけどね」

   これは「週刊現代」の「官僚匿名座談会 橋下徹だけは潰してやる」の中での財務官僚の発言である。国交省の官僚は「橋下に総理になってほしいと思っている官僚は絶無」だと語り、その理由を経産官僚は「政権運営の入り口は必ず役人叩きになるから」だといっている。財務官僚は「大阪市は1800ある市町村の一つ。政令指定都市でも20分の1。同じ手法は国政では通用しない。市の職員とオレたちを一緒にするな」とすごんでみせる。

   ここから読みとれるのは、民主党がここまでガタガタになったのは、官僚主導から政治主導にするなんてバカげたことをいって、オレたちを敵に回したからで、野田佳彦首相のように財務省のいいなりになれば助けてやるという、官僚たちの思い上がった考え方である。

水没の石巻市庁舎改修費用にたった2900万円。中央官庁舎改修は36億円

   今週の「週刊ポスト」は「19兆円復興予算をネコババした泥棒シロアリ役人の悪業」で、自分たちの省益しか考えない役人への怒りをぶちまけている。東日本大震災から500日以上を過ぎたにもかかわらず、被災地復興は進んでいない。三陸海岸のガレキ処理はまだ2割にしか過ぎず、岩手、宮城、福島3県の仮設住宅には約27万人が暮らしているが、これまで着工した復興住宅はわずか229戸で計画の1・1%にすぎない。

   東北復興が進まないのは被災者のための震災復興予算が役人たちに掠め取られているからだとポストは追及している。政府は震災復興のため、昨年度(2011年度)は3次にわたって約15兆円もの復興補正予算を組み、今年度分と合わせて総額19兆円の震災復興予算を集中的に投下することを決めた。

   その財源を賄うために、来年(2013年)1月から25年間にわたる所得税引き上げと10年間の住民税引き上げという、長期間の臨時増税が実施される。そのほかに子ども手当の減額、高速道路無料化の廃止、国家公務員の人件費削減も決まった。

   だが、国の予算は制約ばかり多く、被災地が本当に必要としている事業には使えない仕組みになっているというのだ。宮城6区選出の小野寺五典衆議院議員(自民党)がこう語る。

「被災地の自治体は壊滅状態だから税収もない。そこで復興に自由に使えるという触れ込みの復興交付金が創設されたが、使途が40事業に限定され、土地のかさ上げすらできない。気仙沼では水産庁の復興事業で漁港周辺の地盤を高くしたが、そこに以前あった商店を建てるのはダメだといわれた。これでは町の復興には使えません」

   そのために昨年度の復興予算約15兆円のうち、4割に相当する約6兆円が使われずに余ってしまったのだ。被災者向けの復興住宅にいたっては1116億円のうち、使われたのはわずか4億円である。ポストによれば、大事な復興予算をシロアリ官僚たちがネコババしているというのである。

   まず「不用額」とされた約1兆円は新設された「東日本大震災復興特別会計(復興特会)」に繰り入れられ、各省庁に分配される。国交省はその中から36億円を使って政府の官庁舎を改修する計画を立てた。

   一方で石巻市役所は1階部分が水没し、5、6階の吊り天井が壊れるなどの被害が出たが、

   「市庁舎改修工事」費用はわずか2900万円にすぎない。しかも、市の管財課担当者はこれは改修費用ではなく、加湿器と駐車場のLED電球の設置予算で、自治体が自腹で改修したら倒産してしまうと嘆く。だが、同じ石巻市にある国の出先機関の港湾合同庁舎には4億円の改修費用が計上されている。

定員120名の復興庁に791人分の人件費

   ハコ物と並ぶ巨大公共事業である道路にも多額の予算が復興特会から出されている。北海道と沖縄の道路整備事業にそれぞれ78億円、22億円が拠出された。

   もっと腹が立つのは、国家公務員を6000人以上削減するといっていたのに、実際には1300人しか減らしていないことである。削減分を穴埋めするために新規事業を立ち上げ、そちらに人員を移しているからだ。新設された復興庁の定員は120人だが、復興特会には791人分の人件費が計上されている。

   「被災地に行く職員ならまだわかりますが、そうじゃない。霞ヶ関の役人の給料なんです。本来は一般会計で計上すべき予算を勝手に付け替えている」(みんなの党の桜内文城参議院議員)

   復興特会の人件費は総額131億円にものぼる。これは通常の給与だけではなく、年金や福利厚生、退職金まで含まれているというからあきれ果てる。

   また、文科省や会計監査院から天下りする独立行政法人・日本原子力研究開発機構へは107億円拠出されているのである。機構を管理する文科省の研究開発戦略官付の担当者はこう語る。

「実験を行っている日本原子力研究開発機構は、(被災した)青森県と茨城県にあります。同事業のコンセプトは、この研究を日本と欧州が参画する『世界的な核融合の拠点施設』にして、イノベーションの力で復興に寄与しようというものです。世界的な研究拠点ができれば、被災地に活力を与えるという趣旨です」

   ポストは「質の悪いジョークにもほどがある」と切り捨てる。その他に南極に行く調査捕鯨に18億円、それを妨害するシーシェパード対策費に5億円が使われてしまった。

   「財務省や(民主党)執行部は、震災復興を増税するための道具としてうまく使っただけで、その駆け引きのために震災復興が遅れてしまった。(中略)もう無茶苦茶ですよ。それで不用分は繰り越しだというのだから、地元は本当に怒っていますよ。『使い切れなかったとはなんだ! こっちは本当に復興予算を必要としているのに』と」(新党きづなの齋藤恭紀衆院議員)

   安住財務相は19兆円を超える可能性が高くなってきたので新たな財源を考えると、増税の積み増しまで示唆している。震災復興のためのカネを役所の利権拡大や生活保障という「霞ヶ関復興」のために使っているのは「国家犯罪」だとポストは書いているが、その通りである。

尖閣諸島地主・栗原國起氏に巨額借金!東京都と20億円売却で合意

   このところ快進撃を続けている「週刊文春」だが、今週のスクープは「尖閣諸島地権者は『借金40億円』」である。個人的には、なんで今ごろ尖閣諸島なんか買って中国を刺激するのか理解に苦しむが、石原慎太郎都知事が訪米中にいきなり購入計画を発表し、寄付金が14億円も集まったそうである。

   東京都なんぞに買われたらメンツが立たないと、野田首相があわてて国で購入するといい出し、20億円を提示したら、地権者は「石原氏のメンツをつぶすわけにはいかない」と断っているようだ。

   だが、この地権者である栗原國起氏(70)が、約40億円にのぼる負債を抱えていることが文春の取材で明らかになったというのだ。

   「國起氏はさいたま市大宮区の大地主であり、大宮区近辺に多くの不動産を所有している。不動産登記簿謄本によれば、三菱東京UFJ銀行は一昨年3月末、國起氏が所有する物件に極度額24億5000万円の根抵当権を設定し、38件もの担保を取っている。一方、埼玉縣信用金庫も昨年9月に大宮区内の不動産に極度額15億円の根抵当を設定している。

   しかし、埼玉信金が設定した根抵当の担保は、土地2筆(計1000平米)と平屋の建物2棟(延床面積計119平米)の4件のみ。公示地価に照らし合わせると、2億3000万円の価値にしかならない。

   『根抵当権の極度額は担保評価額の110%が一般的ですから、明らかに担保としては足りないですね。尖閣列島の所有者だから取りはぐれはないだろうという見込みで貸し込んだのではないでしょうか』(不動産鑑定士)

   彼が莫大な負債を抱えるにいたった理由を、弟であり一連の報道で地権者側の『スポークスマン』となっている栗原弘行氏に聞くと、次のような答えだった。

『地主は相続対策として、ある程度の負債を抱えておくのが常識ですから』

   だが、ある都幹部はこの弘行氏も國起氏の負債に大きく影響していると話す。

『弘行さんはいろいろな事業に手を出して失敗し、それを國起氏が埋め合わせしたと聞いています』

   一方で、本誌は都が國起氏側と売却金額上限20億円で合意に至っていることをつかんだ。(中略)東京都知事本局は20億円という価格について『進行中の案件につき、詳細はお答えできません』と回答した。(中略)

   日本全国から集めた寄付金を購入資金とする以上、石原都知事は地権者との交渉経緯、購入金額の妥当性等について、きちんと説明することが求められる」(週刊文春Webより)

   もろに影響を受ける尖閣周辺をおもな漁場とする石垣島の上原亀一八重山漁業組合長はこういっている。

「(中略)安全操業が可能になれば周辺海域での漁業が盛んになり、経済実効支配も進むんですよ。石原さんは基本的にそうした考え方をお持ちなので、都の購入自体は望ましい。
   ただ、パフォーマンスが過ぎて中国・台湾を必要以上に刺激しすぎている。そもそも中国漁船とのトラブルはないんです。尖閣を含む北緯二十七度以南は00年発効の日中漁業協定で中国に操業が認められましたから。それと漁法自体が沖縄の船と違うので、競合もしないんです」

   冷静な目で見ているのに、石原都知事と野田首相はわれ先にと札束を積み「没落地主とのマネーゲームの様相を呈している」(文春)ようなのだ。日中関係を悪化させてまで急ぐことではないと思うのだが。

JAL再上場にインサイダー疑惑!稲森・京セラ所有の未公開株大化け必至

   JALの上場問題が喧しい。先週の「週刊新潮」が「JAL再上場目前の乱気流 当機は燃料費節約のため台風に突っ込みます!」で、稲盛和夫JAL名誉会長の「利益なくして安全なし」という稲盛イズムを批判した。

   今週は文春が「JALを私物化する稲盛和夫会長の『強欲』」で、9月19日に東証一部に再上場するJALの株式をめぐってインサイダー取引疑惑があると追及している。昨年3月15日に稲盛の会社である京セラ、大和証券グループ本社を始めとする民間8社が、JAL株(総額127億円)の増資を引き受けている。内訳は京セラ50億円、大和が50億1000万円で突出している。9月に上場すれば、京セラが取得した未公開株は倍になると証券会社幹部が話している。

   増資のタイミングに疑義があるというのだ。増資決定から13日後の3月28日に更生手続きが終わって、JALは破綻前と同じ「株式会社」に戻った。

   「日航の再建に関わる人間は、昨年三月に増資が発表される前の一月、二月頃にはすでに、年度末の利益目標だった六百四十一億円を上回る千八百億円ぐらいの営業利益が見込まれることがわかっていた。これは稲盛さんも当然、同じだ。つまり、身内のなかでは大幅に利益が出ることが見えているうえでの未公開株式譲渡だったんだよ」(政府関係者)

   業績がV字回復したのになぜ必要が薄れた増資をしたのか。

   「企業再生委員など複数の関係者が不透明な増資への懸念を表明したようです」(慶應義塾大学大学院岸博幸教授)

   未上場株は法的にはインサイダー取引に問われないそうだが、このケースは違うとある証券専門家はいう。

「今回の場合、未上場であっても、支援機構の出資金は国民の税金であり、国民という不特定多数の、いわば株主に影響する。今回の増資は、その法の精神から言えば限りなくインサイダーに近いといえる」

   これ以上は詰め切れていないが、稲盛会長は得度し、一時は出家したいという思いがあった人物である。それがこのような「疑惑」を招くのはいかがなものだろうか。文春はこう結んでいる。

「稲盛氏は企業人としての公益性を忘れてはいないだろうか」

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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