渡辺謙の吉田茂まずは合格!脚本重厚、役者揃いで先が楽しみ

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「負けて、勝つ~戦後を創った男・吉田茂 第1回」(NHK総合)2012年9月8日21時~

   小男だった吉田茂を背の高い渡辺謙が演じてどうするんだと懸念していたが、葉巻をくわえた表情に努力の跡が見られたのでよしとしよう。大磯の邸宅で芸者上がりの小りん(松雪泰子)と暮らしていた戦後の吉田茂のもとに外務大臣就任の要請が届く。厚木に降り立った後、精力的に占領政策を推し進めるダグラス・マッカーサー(D・モース)に吉田は「天皇に戦争責任はない」と激しく掛け合う。
   岳父の牧野伸顕(加藤剛)や子分のような白洲次郎(谷原章介)、柴田達彦(永井大)らとのやりとりの他に、濃密に描かれるのは、1919年パリの第1次大戦処理の場で、日本がほとんど無視された時の悔しさである。当時、近衛文麿(野村萬斎)と吉田はやけくそで酔っ払った。欧米が主導で日本はバカにされているとの強烈な思いが、外交官だった吉田に強い抵抗力外交力を与えたに違いないとの解釈である。
   ただし、実際の近衛は中高いお公家さん顏であったのに、演じる萬斎はべったりと平板な平民顔(?)なので、ここでも違和感はある。戦争に反対したと自負する近衛は、開戦時の総理大臣だったのだから当然戦犯に問われる身となる。収監されるのを良しとせず彼は自らの命を絶った。平成24年の今日も、松下金融相が自殺し、思えば政治家の命とは、とつくづく考えさせられる。脚本(坂元裕二)は重厚、役者揃いで先が楽しみのドラマだが、吉田でさえ終わりの頃の支持率はヒトケタだった。死して後の評価とは大違いなのである。

(黄蘭)

採点:1.5
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