渡部篤郎・ハセキョー好演!パソコンもスマホも登場する清張没20年の「換骨奪胎」力作

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「松本清張 没後20年特別企画 危険な斜面」(フジテレビ)2012年9月30日21時~

   換骨奪胎して相当原作とは違う。清張が生きていた当時にはパソコンもスマホも当然なかったから、アリバイ道具は違うのだが、出張と見せかけて夜に移動して殺人を犯すという古典的展開は、昔も今も変わらないのである。当作では、脚本家(当摩寿史)が原作にない部分を書き加えたら、松本清張事務所からクレームが来て、大慌てで書き直したと聞いたのであるが、時代を移す作業も大変だ。
   大物政治家の娘婿になって平穏な生活を続けていた西島電機の社員・秋場文作(渡部篤郎)は、今ではワンマン会長(中村敦夫)の秘書であり愛人でもあるかつての恋人・野関利江(長谷川京子)と再会して、たちまち関係が戻ってしまう。秋場に惚れ込んだ利江は会長に取り入って秋場を重要ポストに出世させる。そこでお決まりの利江の妊娠の告白によって立場が危うくなった秋場は、利江を亡き者にしようとして遺体にアリバイ証拠物件を残して埋めるのだが・・・。
   破滅に転げ落ちてゆく展開は読めるし、もう1人利江を愛している出入り業者の若者・沼田(溝端淳平)が、秋場の旧姓のメールを秋場と疑っていろいろ脅迫するくだりは、スマホという現代ツールを使っていてなるほどと思う。渡部は陰のあるサラリーマンの笑顔の裏をよく出していたし、久しぶりのハセキョーこと長谷川京子が、恋多きが故に命まで落とす羽目になるキャリアウーマンの危うさを素敵に演じていた。没後20年に相応しい力作であった。

(黄蘭)

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