<宇宙人王(ワン)さんとの遭遇>
宇宙人の言葉は中国語だった!狙いは「侵略」か「平和」か…現実世界と重なるスリル

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(C)2011 Manetti bros. Film
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   女性翻訳家・ガイアに中国語の同時通訳をしてくれという急ぎの依頼が入る。高額な報酬に釣られて彼女は仕事を引き受け、イタリア秘密警察のキュルティという男と会う。キュルティは秘密保持のためといってガイアに目隠しをして、ある地下室へ連れて行った。

   目隠しをはずされると、部屋は鼻をつままれてもわからないような暗闇だった。そこではキュルティに王(ワン)という男が取り調べられていて、それを通訳するのがガイアの仕事だ。しかし、暗闇では通訳にも支障が出るということで部屋を明るくしてもらうと、王(ワン)は人間とは違う生物であった。

欧州人は中国人を宇宙人と見ているということか

   キャストもスタッフも無名ながら、ベネチア映画祭で話題をかっさらったというが、なるほど宇宙人が中国語を話すという設定であったり、可愛いような気持ち悪いような「ゆるい」宇宙人であったりと、発想がとにかくユニークだ。宇宙人王(ワン)さんとは、欧州人の中国人に対するイメージの具象なのかなど、観る者のイマジネーションの引き出しを開けるような抽象性も面白い。

   宇宙人が出てくる映画の物語を2つに分ければ、「侵略」か「友好」かとなるだろう。それを中国人と結び付けているところが、この映画の核心部であろう。王(ワン)さんの目的はいったい何なのか。その答えが出た時に、「宇宙人が登場する映画」からドキュメンタリー要素を孕んだようなヒューマニズムの世界へと変貌していく。王(ワン)さんと共に映画そのものが転換していく鮮やかさは、たとえ、展開が読めたとしても、その美しさは変わらない。

川端龍介

おススメ度☆☆☆☆

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