とんと聞かなくなった「学園祭の女王」あの熱気と乱痴気騒ぎどこへいった…

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   くしゅん。どうも季節の変わり目はよろしくない。アレルギ―持ちにとっては過酷な時期だ。目と鼻と耳の穴が痒くてたまらない。さらに北海道では初霜が降りましたなんて知らせを聞くと、とたんに都内でもマスクをしている人が目立つようになる。冬支度に向けて、体がついていけないのか、なんだかそんな今日この頃である。

必ずパトカー・救急車出動してコンドームが散乱

   この季節は学園祭だ。学生たちは芸能人をキャンパスに呼び、一席設けて芸を披露して頂く。その昔は「学園祭の女王」という言葉があったけど、最近ではとんと聞かない。ギャラが安くなったせいなのか、それとも今ではあまりメリットがないと判断した芸能プロダクション側の判断か。

   学園祭は学生のお祭りであり、学校側にとってはオープンキャンパスに次ぐ次期学生を巻き込む機会であり、地域住民との交流、親交の場だが、我が母校は違っていた。東京都と神奈川県の境にある私立の美術大学で、学園祭で華を飾ったのは学生が喜ぶゲストたちばかりだった。私の在学中は元AV女優でノイズバンドのボーカリストや、テレビではなかなか拝見できないキワモノ芸人が数多く登場していた。

   そして、県境の山奥で校内は巨大クラブ化し、乱痴気騒ぎが繰り拡げられた。一般的な学園祭は日暮れとともに終了するのに、朝まで爆音が鳴り響き、酔いつぶれた学生が奇声をあげている。必ず救急車とパトカーのお世話になり、校内のいたるところにコンドームが落ちていたっけ。それが鉄道会社による宅地開発が進み、騒音問題やモラルなどで夜8時には終了するように要請が出始めたのが、大学4年生頃だった。あぁ、愛しの我が学び舎。

「自分探しの旅」に出た学生たちもいまはいいお父さん、お母さん

   当時、私達の世代は世間にこう評されていた。「超就職氷河期の若者たち、自分探しの旅に出る」。確かに旅に出ていた仲間は多い。そもそも世の中を斜めに見るすれっからしな学生が多い美術大学だけに、まともに就職しようとする学生が少なく、そこに超就職氷河期だ。就職もせずに海外で流浪の民になるものが多かった。学生時代から世界各地を一人旅している先輩が帰国して、母校の学園祭にはなぜかやってくる。だから一層、風紀は乱れた。けれど世界を旅した先輩たちはとても輝いて見えた。

   その頃に世界中のバックパッカーの間で話題になっていたのがハリーポッターである。まだipadもない時代で、分厚い本を何冊もバックパックに収めて、彼らは世界を旅していたのを思い出す。

   そんな自分探しをした世代はどうなったのか。結局は日本でいいお父さん、お母さんになっているのが9割。中には肩書を冒険家として活躍している先輩も少なからずいる。今でも僻地を旅することで金を稼げているのは、彼らの表現力が人より優れていたからだろう。体験したことを記した文章、現地を撮影した写真、描いた絵画の数々。人々に注目され時代の寵児にもなった者だけが、趣味ではなく生業として世界中を旅することが許されている。

   先日も世界中を旅している先輩が帰国しているということで、久しぶりに会った。相変わらず目を輝かせて語る先輩に熱き炎が見えた気がした。そう、時の流れを感じさせない。そういえば学生時代には季節の代わり目でアレルギーなんて起こしてなかった。大きなくしゃみを一つ。慣れ親しんだ環境を変えればアレルギーも治ると言うけれど、いったい私は今からどこに向かえばいいのだろう。やだ、まだ自分探しってことかしら。

モジョっこ

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