2024年 4月 19日 (金)

<よみがえりのレシピ>
人気イタリアン「アル・ケッチャーノ」でよみがえる山形の在来作物―種を守り味を伝えるドキュメンタリー美味しそう!

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(C)2012 映画「よみがえりのレシピ」製作委員会
(C)2012 映画「よみがえりのレシピ」製作委員会

   山形県で在来作物を守り、受け継ごうとする農家、地元大学の農学博士、そしてイタリア料理店主らを追ったドキュメンタリーである。大量生産、大量流通、大量消費の時代のいま、どこに行っても同じものが手に入るという便利さの反面、ここだけでしか味わえない稀有な野菜が次々と姿を消している。それらが地元の人々の手によって復活するシーンは感動的だ。美しい田畑や新鮮な野菜を使った料理、人々の笑顔にも癒される。

大量生産・大量流通・大量消費で押しやられる種苗や耕作地

   在来作物とは「ある地域で、世代を越えて、栽培者によって種苗の保存が続けられ、特定の用途に供されてきた作物」を指すという。これまで、収量が少なく病気にも弱いため「価値の低い作物」とみなされてきた。ある調査によると、山形県ではここ数十年で30品目以上の在来作物が消失しているという。いま残っている160品目も、種を受け継ぐ後継者がいないなどの理由で風前の灯となっているものが多い。

   在来作物の意義を語る山形大学農学部の江頭宏昌准教授は、在来作物を守ることは種苗の保存のノウハウ、焼き畑のような昔ながらの農法、さらには食べ方など地域の知的財産を守ることに繋がり、「種も守ることが植物と人との共生関係」と説く。

外内島キュウリと焼きカレイ、宝谷カブの薄焼きピザ……

   独自の料理法で在来作物に光を当てているのが「山形イタリアン」を提唱し、予約が取りにくいレストランとしても有名な「アル・ケッチャーノ」の奥田政行シェフだ。限られた食べ方しか知られていなかったクセや苦味の強い在来作物を、味・食感・香りをフルに生かして斬新な料理に仕立て上げる。漬物として活用されていた外内島(とのじま)キュウリは、焼いたカレイと合わせて魚料理に、宝谷カブは薄焼きピザに変身する。食べた途端に人々は顔をほころばせる。

   昔ながらの野菜を現代によみがえらせる―ひとことで言えばそんなテーマの映画だが、奥田シェフのような創意工夫に満ちた料理人の登場によってドキュメンタリーに奥行きが生まれている。なによりも出てくる料理がすべておいしそうなこと!シェフのレシピによって在来作物が生き生きとよみがえらせることで、土や種と共に生きてきた人間のあり方もらよみがえらせよう…そんなメッセージが読み取れる。(渋谷「ユーロスペース」で公開中。全国上映予定)

バード

おススメ度:☆☆☆☆

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