<福島をずっと見ているTV>
首相官邸前「反原発デモ」福島はどう見ているか?「安直な同情」「うれしい」

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   NHK「青春リアル」の特別シリーズ「福島をずっと見ているTV」はこの日で19回目の放送である。10月(2012年)に放送した18回の「緊急対談」では、福島に住む人たちが首相官邸前デモに感じている違和感や葛藤が紹介された。福島に住んでいるわけでもない東京人が、大きな声で「フクシマを返せ」と叫ぶのを聞くたびに、福島在住者は「汚れた土地に住んでいるのだ」と苦しくなるのだと言う。確かに一理ある。

   だが、デモ主催者からすると、参加している人たちの言い分や気持ちの紹介なしに「福島の人は東京のデモを嫌がっている」とだけ流すのは偏見を助長させる以外の何物でもないと、主催者の1人である平野太一さんは「Eテレ、本当に最低の番組だと思う」「(番組の司会である)箭内(道彦)さんや番組中に出てきた『福島の人々』と話がしたい」とツイッターに書いた。ならばと用意されたのが今回の対談だ。一筋縄ではいかないにおいがプンプンする。

遠く離れたところから「可哀想な汚染された町」と見てないか

   対談の参加者は、司会の箭内さんと官邸前デモ主催側から2人、前回の放送に登場した福島の人びと数人である。箭内さんが「前回放送を見て、平野さん(デモ主催者側)はどう思ったの」と聞く。デモ主催者側は「応援したい気持ちがネガティブにとらえられていること自体がもったいない」と語り、福島県民は「福島原発で長く働いた人の中には、自分を否定されているような気持ちになる人もいる。やり方はそれ(デモ)だけなのか」と応じる。「傷付け合う覚悟でなんでも言い合う環境というのも大切では」という意見なども披露され、いよいよすれ違いが明らかになる。

   番組はあるVTRを流した。福島からデモに参加した伊藤さんで、福島の現状など知らないのに、可哀想な汚染された町の記号としてフクシマを叫んではいないか。デモ隊側にそう伝えたいと強い決意でデモに混じった。だが、そこで一つの変化に気が付いた。2か月前は「フクシマ返せ」と叫んでいた人たちが、「農業守れ、漁業も守れ」と文言を改めている。看板にも「福島」「フクシマ」の言葉はあまり見られない。

   実は、10月の放送後にデモ主催者の平野さんなどは意識的にスローガンを改めたという。その配慮は福島から伊藤さんにも伝わった。「受け手も送り手も一方的ではいけないと考え始めている気がする」。迷った末に伊藤さんはスピーチエリアへと進み出る。そして伝える。福島という言葉を安易に使ってほしくないが、福島を思ってくれること自体は本当にうれしい。たくさんの「誰か」の代弁者でなく、伊藤さん自身の声にぴんと空気が張り詰めた。

   原発政策は衆院選挙の最大の争点だ。だからこそ「誰のために叫ぶのか」「誰の声に耳を澄ませるべきのか」をもう1度考えなくてはなぁ。良い番組だけど、もやもやが増した月曜の夜でした。(NHK・Eテレ12月11日深夜1時)

ばんぶぅ

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