スパコン「京」が未来をひらくって…楽観的すぎやしないか?「計算世界一」だってたちまち転落

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   「超高速計算が起こす『新・産業革命』」が、この日の「クローズアップ現代」のタイトルである。超高速計算とは、スパコンことスーパーコンピューターの計算のことだ。ずいぶんと大きく出たなあというのが当初の感想で、放送を見終わってもそれは変わらなかった。

   クロ現が着目したのは、スパコンのなかでも、事業仕分けの対象になって騒がれて、すったもんだの末に完成して、一時は計算世界一(すぐに抜かれたし、今後も陳腐化していくだろう)のスパコンとなった「京」だ。現在は日本一のこの「京」が未来をひらくというのだ。

   脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす血栓がどう血管につまるかを「京」にシミュレーションさせる。すると答えが出てくる。そうしたことで「予測医療」が発達するという。モノづくりにおいても活躍し、自動車の空力解析などには最適らしい。複雑な風の状況をいち早く計算できる。大掛かりな実験をしたり、試作車をつくらなくてもよくなり、コストと時間が削減できる。「われわれにとっては夢のようなツール」(日産自動車)という。

パソコン普及して人間はよりクリエイティブになったか

   スタジオでは、スパコンのシミュレーションのおかげで「自動車の野心的なデザインが可能になった」「人間は創造性の羽を伸ばせるようになった」(松岡聡・東京工業大学教授)などと、コンピューターが支える人間讃歌が聞かれた。

   コンピューターのおかげで人間は面倒な事務的作業から開放され、よりクリエイティブで高尚な存在となれるはずだ――という見方は古くからある。パソコンことパーソナルコンピューターも、ごく初期の頃からそうした理想が語られてきたものだ。パソコン(今の性能は一昔前のスパコン並だというが)はすっかり人口に膾炙したが、それが世の中を根本的に変え、人間がよりクリエイティブになったかと考えると、今のところ大いに疑問である。

   筆者自身、仕事柄、パソコンの恩恵は受けているが、なかなか忸怩たるものがある。相棒であるところの目の前のパソコンは、私のクリエイティビティに不満を持っているのではないかと恐れる。ご期待にそえず申し訳ありませんと頭を下げたくなる次第である。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2013年1月8日放送「超高速計算が起こす『新・産業革命』?スパコン「京」のひらく未来?」)

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