2024年 4月 16日 (火)

「週刊現代」どっちがホント?「アベノミクス乗り遅れるな」「安倍バブルは大ボラ」

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

   「週刊現代」の1ドル100円で大儲けする企業ベスト100を読んでみた。いつものように経済のプロ50人に1位から5位までを選んでもらっているが、その多くがトップに選んでいるのは「トヨタ自動車」である。これではおもしろくない。ほかには、味の素、コマツ、住友商事、新日鐵住金、竹内製作所、東芝などがあるが、おもしろいのはシャープやソニー、ワタミなどが入っていることだ。

   シャープは「タブレット型液晶で大復活の道が」(鮎川良)、ソニーは「サムソンもLGも欧米でのブランド力を高めているとはいえ、日本企業のきめ細かい製品力にはかなわない。為替差がなくなったことで日本勢の巻き返しが始まる」(長田貴仁)、ワタミは「老人ホームや保育園に限られた財源を振り分けるべき。この観点からワタミやヤマダ電機など生活密着型内需系の企業の飛躍に期待する」(関根光)というのだ。

   為替に敏感な野村HDは円安がいいほうに出ると見ているプロもいる。まあ、お金に余裕があって、ミニバブルが破裂しても生活に影響がない人なら買えばいいとは思うが。

   こういうことには慎重な「週刊朝日」でも「『バブル』かもしれないが、狙い目は、どんな銘柄だろうか」と株へ目がいっている。おかしいのは、これほど「アベノミクス」を持ち上げている現代だが、コラムを読んでみると、安倍の経済対策に懐疑的な論調が多いのだ。「安倍にだまされるな! 景気は絶対良くならない」(大橋巨泉「今週の遺言」)、「アベノミクスが復興を遅らせる」(古賀茂明「官々愕々」)、「焦げつき額は80兆円! 株高円安のウラで進行する安倍ミニバブル崩壊の衝撃」(森功「ジャーナリズムの目」)とある。

   インフレターゲットや金融緩和など、まだ動き出してもいないうちから反応する株価や為替は、アベノミクスがうまくいかないとわかればあっという間に下がる(円は上がる)のは必定。参議院選まで力ずくで景気がいいように見せかけたとしても、サラリーマンの給与に反映されるのはずっと後になる。参議院選挙後に経済対策が破綻すれば、給与は上がらず、物価や消費税アップで家計はさらに苦しくなる。いまメディアに求められるのは、アベノミクスで自民党が何をしようとしているのか、成果が出る、または失敗する1~2年後までじっくり観察し検証することだと思うのだが。

JR西日本重役「痴漢逮捕」自殺―女子高生の証言だけで実名・顔写真公開の危うさ

   編集長が木所隆介に替わったフライデーだが、まだ誌面への変化はないようだ。現代の「『痴漢報道』JR西日本の重役はなぜ死ななければならなかったのか」は、かつて上前淳一郎が書いた『支店長はなぜ死んだか』を思わせるタイトルに惹かれて読んでみた。

   たしかに、取り調べをしただけで警察は記者発表し、それを自前で検証もせず実名と顔写真を報じたテレビなどは批判されてしかるべきである。このケースも、決め手は彼を痴漢だと訴えている17歳の女子高生の証言だけである。その声を聞いて、電車から逃げ出したところを現行犯逮捕された。容疑を否認したまま2日ぶりに自宅に帰った重役は、テレビで自分の名前や顔が公開されたことで絶望したのであろう、公園の便所で首を吊って死んでしまった。

   本人が死んでしまったことと女子高生の話を聞けないために難しい取材ではあっただろうが、もうすこし粘って取材を重ね、痴漢報道とはどうあるべきなのか、新聞やテレビも巻き込んでじっくり論じてほしかった。私は、よほど悪質な痴漢行為や常習犯でない限り、刑が確定するまで実名報道は避けるべきだと思う。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中