鶴橋ワールド堪能!盗まれた拳銃の負の連鎖―緊張感溢れる演出見事
<黒澤明ドラマスペシャル「野良犬」(テレビ朝日系)>

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   タイトルと、警官が拳銃を盗まれて必死で取り戻そうとする筋の芯だけ残して後は新しい物語を作ったと、鶴橋康夫監督自らが語っている(毎日新聞1/18夕刊)。加えて、現在の事件が何十年か前の事件とリンクしているパターンは、長尺ドラマでよく使われる手法である。それでも尚且、かくも緊張感に溢れた佳作ドラマができるのは脚本にも関わった演出家の力量のなせる業以外の何物でもない。
   城北署刑事・警部補の村上翔一(江口洋介)は、徹夜仕事明けの帰りのバスでうたた寝をして拳銃を掏られた。掏った男は中学時代に卑劣ないじめに遭っていた箱師の銀次(柄本佑)で、ここから、25年前の少年たちの関係が明かされてゆく。拳銃は偶々殺人に使われ、村上は捜査からも外された一匹の野良犬に堕ちる。即ち、1つの拳銃紛失による負の連鎖が続いてゆくのである。脚本、池端俊策。
   銀次から拳銃を手にした元親友の遊佐英(永瀬正敏)には妹がいて、そのアキ(広末涼子)はいじめのボスで現在は贈賄疑惑の渦中にある会社社長・重山の愛人にされ、ジャズクラブの歌手として毎日を投げやりに生きている。ヒロスエが意外にいい味を出している。
   自首を勧める村上を裏切って遊佐は見せ金で逃げる気の重山に拳銃を向け、村上に撃たれて死ぬ。最後に野良犬から正義派の刑事に還った男の手にかかるのだ。圧倒的な個性派俳優たちの群像処理と傾斜のある場所で人物2人を見据える俯瞰図、鶴橋ワールドは健在だ。(放送2013年1月19日21時~)

(黄蘭)

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