アルジェリア生還した7人…これから始まる「心の傷」との闘い

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   アルジェリア人質事件で犠牲となった日本人9人の遺体と修羅場の中を生還した7人を乗せた政府専用機が25日朝(2013年1月)帰ってきた。最後まで安否がわからなかった日揮の前副社長、新谷正法最高顧問(66)が指輪で確認され、遅れて帰国する。生還した7人には、恐怖の記憶を克服するという苦しい日々が待っている。

落ち着いてくると起こるフラッシュバック

   「モーニングバード!」は2004年に取材中のイラクで武装集団に拘束された経験を持つフリージャーナリストの安田純平氏に話しを聞いた。安田氏は当時を思い返し、「目の前の相手が武器を持ち覆面をしていて、『スパイを捕まえたので殺す』という気配でしたから、状況を少しでも良くしようと非常に神経を使いましたね」という。今回の人質事件で7人の生存者が負った「心の傷」を「同僚の方が亡くなり、しかも現地に残って遺体の確認をされた。そういう経験はかなり厳しいと思いますね。かなりのショックですよ」と心配する。

わかる気がする

   1996年にペルーの首都リマで起きた日本大使公邸の127日間に及ぶ人質事件で拘束された青木盛久元大使も、「耳に銃口を突きつけられて命の危険を感じたことがあった。これは皆殺しになるんじゃないかと。解放後も1か月は興奮状態が続いて」という。

   心の傷から立ち直るにはどうしたらいいのか。湾岸戦争で解放された人質の心のケアを担当した筑波大名誉教授の宗像恒次は次のように語る。

「帰国して最初のうちは報告とか残務整理とか仕事があり、あまり症状は出ない。しかし、しばらくして落ち着いてくるとフラッシュバックしてくる。突然、体が震えて止まらない感じになったり、涙が出たりする」

   フラッシュバッグは過去の経験が瞬間的によみがえるPTSD(心的外傷後ストレス障害)症状の一種で、激しいと自分の感情をコントロールできず、「自分だけが生き残った」という罪の意識が重くのしかかってくるという。

周囲は「温かい無関心」心がけ

   宗像教授「(心の傷を克服するには)事件のことを周囲に話す。最初は無理でも、最終的にどこかで信頼できる人に話すことが必要です。どうしても話せない場合は、何かに書いて心の中の整理をしないと恐怖感が取れないんですよ」

   青木氏も「自分の中にしまっておくんじゃなくて、ある程度、事態についての客観化ができた段階で積極的に外に向かった話をしなさいといわれた。このカウンセリングは良かったと思う」と自らの体験を話した。

   周囲の人間の気配りについて宗像教授はこう語った。「あまり関心を持ちすぎるのもすごいプレッシャーになり、見守ることが重要。『温かい無関心』の姿勢を周囲が持つことが第一です」

   このわかりやすい丁寧な説明に、作家の吉永みち子も「話とか書くことで客観性を持てたり、苦しみから立ち直るきっかけになるというのはわかるような気がする」と納得したようだった。

文   モンブラン | 似顔絵 池田マコト
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