ボーイング787運行再開メド立たず!トラブル原因不明で長引く飛行停止・出荷停止

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   未来の飛行機、夢の旅客機といわれた最新のボーング787が飛べずにいる。相次ぐ不具合、とりわけバッテリーの発火事故続いた。全日空機が高松空港に緊急着陸したのを受けて、米連邦航空局は1979年以来となる飛行停止命令を出した。航空当局、メーカー、航空会社などが原因を調べているが、いまだにわからない。

バッテリーの不具合なのか?全体システムの重大欠陥か?

   素材からシステムまで根底から見直して燃費を20%も削減したB787の効率化は、電化がカギだった。航空機では初めてリチウムイオン電池も採用した。携帯やパソコン、電気自動車では広く使われているが、航空機では敬遠されてきた。高性能だが引火性の「有機溶媒」の扱いが難しかったからだ。B787の採用では、連邦航空局は新たな安全基準を作って過熱や過充電はもちろん、ガスの発生まで厳しい安全条件を課した。

   高性能・小型軽量のバッテリーは何重もの安全装置で守られているはずだったが火を噴いたのである。高松空港の緊急着陸でトラブルは2例目だった。バッテリーは日本製、充電器はアメリカ製、システムはフランスの設計である。いまのところ、バッテリー本体の不具合なのか、システム全体に問題があるのか調査中だ。

   専門家は「バッテリーは熱くなっても発火はしないが、火種があると燃える。煙が出たということは火種があったと考えられる」という。それが何なのかはわからない。実験では、携帯電話用のリチウムイオン電池でも衝撃を与えたりすると激しく燃えた。

   火を噴いたバッテリーは操縦席の下に位置していて、全体の電源が落ちたときに操縦室と車輪のブレーキシステムに電気を供給するものだった。つまり、最後の砦だったわけだ。「絶対に不具合があってはいけないもの。それが焼けこげたんですからショックですよね」と元全日空機長の前根明さんはいう。

製造部品35%の「準国産機」日本企業にも打撃

   このトラブルを取材しているNHK社会部の那須隆博記者は、「原因解明には時間がかかり、早期の運航再開はむずかしいのではないか」という。これだけ電力を多用した航空機は初めてで、部品の製造に各国の企業がかかわっているなど、過去の調査経験が通用しないからだ。

   B787は部品の35%を日本企業がつくっていて「準国産」といわれる。ボーイング社はいまも組み立ては続けているが、出荷は止めている。少なくともバッテリー事故の解明ができないと出荷もできない。長引くと日本企業にも影が差すこともありうる。

   浜松の金属切断刃物の会社はB787の機体の一部を造る会社と取引していた。新素材を短時間で切断する技術を開発して売り込もうとした矢先に、このトラブルが発生した。鈴木真二・東大大学院教授は「日本のもの作りが空洞化する中で、これはビジネスチャンスだし、炭素繊維複合材など日本の技術の評価は高い。それだけに、事態が長引くと影響が心配です」という。

   シアトル郊外のボーイング社の組み立てラインの壁に、B787を納品した航空会社のエンブレムが並んでいた。50機のうち24機が日本で、全日空は17機ある。その最新鋭機が止まったままだ。欠航は300便を超えた。「早く原因究明を」と祈りたくなる。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2013年1月24日放送「『夢の旅客機』に何が~B787 緊急着陸の波紋~」)

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