2024年 4月 26日 (金)

<ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!>
泣きっぱなしの92分!バレエ登竜門目指す少年少女…夢の前に立ちふさがるそれぞれの事情

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(C)First Position Films LLC 
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「こんなに努力してきたのに、開始1分でミスよ」

   自嘲気味にそう言ってブロンドの少女は楽屋に消える。去りぎわの台詞は「努力は採点されないわ」だった。プロバレリーナ・バレエダンサーへの登竜門とされるコンクール「ユース・アメリカ・グランプリ」に挑む少年少女を追ったドキュメンタリーだ。

   どれだけ練習に打ち込んでも、コンクールの舞台で評価されなければ明日はない。この少女は17歳。高校卒業までにバレエ団からのスカウトが欲しい。17歳は若くないのだ。どんな思いでその言葉を口にしたのか。底知れないエネルギーに圧倒され続けた92分だった。

足の痛み堪えてステージに立つアフリカの14歳―両親奪った内戦

   カメラが追う年少女は6人(「おまめさん」もカウントに入れると7人)。だが、11歳の少年アランから17歳の少女レベッカまでそれぞれの背中にそれぞれの事情を背負っている。それを知ると、少しだけバレエという世界も見えてくる。

   アランは素人が見てもはっきりとわかる天才だ。回転のときの軸、体の柔らかさ、腰の高さ…何もかもが違う。元バレエ・ダンサーのコーチも「一生に一人か二人会えるかどうかの才能」と太鼓判を押す。バレエのために学校も通信教育に変え、片道2時間をかけてレッスンに通ってくる。

   14歳のミケーラはアフリカのシエラレオネの出身。内戦で両親を失い、孤児院からアメリカ人夫妻の養女になった。「肌に白斑があるために、養子に行き損ねている女の子がいる」という話を伝え聞いた夫妻が、「ぜひに」と彼女を引き取ったのだという。「幼少期と比べて夢のような生活だ」「家族が大好き」と語るミケーラは強い。直前まで涙が出るほど足が痛んでも、ステージに立つとキラキラとエネルギーを発散する。不安にも痛みにも負けない。

   16歳のジョアンは、コロンビアから単身、夢をかなえにきている。彼はアメリカンドリームを掴まねばならない。踊りは大好きだが、続けるには大変な経済的負担を強いられる。最低月収250ドルというコロンビアで、決して裕福ではないであろう両親には到底支えきれない。だから、彼は一流のバレエ団に入り稼げるダンサーにならねばならない。大きなチャンスをつかめるかもしれない才能があることを誇らしく思い、その才能に恥じない努力を重ねる。

努力重ねてもダメなときはダメという厳しい現実…「それでも踊るのは楽しい」

   バレエは過酷だ。1日の大半を練習に充てるため、子供らしい生活は望めないし、経済力がなくては競技も続けられない。実力があっても雇用機会は減る一方だし、筋肉も腱も酷使するからケガが絶えない。そして、残酷なことに、どれだけ努力を重ねても駄目なときは駄目だ。それでも彼らは言う。「踊るのは楽しい」

   ひたむきさを言葉より雄弁に語るのは演技だ。動きの一つ一つが何かに導かれているかのようにつながっていく。これが映像の力だよと見せつけられ、最初から最後まで泣きっぱなしだった。コンクールの結果は映画ではクライマックスだけれど、彼らの人生にはステップの1つに過ぎない。タイトル「ファースト・ポジション」はバレエの基礎中の基礎のポジションのことらしい。長くて短い競技人生はファーストポジションからのチャレンジの繰り返しだ。たゆまぬ努力とその強さに、筆者としては初めての星5つ。文句なしです。

(ばんぶぅ)

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