2024年 4月 26日 (金)

ダークマターを探せ!巨大実験装置を日本誘致「全長30キロの直線加速器」

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   国際リニアコライダー(ILC)と呼ばれる宇宙のナゾに迫る巨大実験装置を日本に誘致する動きが加速しそうだ。下村文科相が先月18日(2013年1月)、日本に誘致するための「政府間協議に向けて準備中だ」と発言した。日本では、関係治自体が東北の北上山地と福岡・佐賀にまたがる脊振山地の2か所が名乗りを上げていて、すでに活発な誘致活動を展開している。ILCとはどんなものなのか。

宇宙は何でできているのか?質量の96%は未解明

   昨年7月、スイス・ケルンにあるセルン(欧州原子核研究機構)の実験装置で、予言されていた17個ある素粒子の最後の一つ、ヒッグス素粒子が発見された。素粒子はこれ以上分割できない物質の最小単位をいい、万物の根源だが、17個合せても宇宙の質量の4%に過ぎない。残りの96%の「何か」はまだ未解明のままだ。宇宙はいったい何でできているのか。

   東大数物連携宇宙研究機構の村山斉機構長は「これまで発見された素粒子には鏡に映したような、まるで影武者のような素粒子が存在すると考えられています」という。影のように目に見えない素粒子は、未解明の96%のうち23%が「ダークマター(暗黒物質)」と呼ばれ、73%が「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」と考えられている。

   ILC計画はこの宇宙誕生のナゾに迫る次世代の実験装置だ。国谷裕子キャスターが「発見されたヒッグス素粒子はビッグバンが起きた100億分の1秒後に現れて物事をまとめる役目をしたということですよね。科学者たちは今度は何を捜しているのですか」と東大素粒子物理国際研究センターの山下了准教授に聞く。山下准教授はILC計画の準備に10年以上携わってきた。

   「宇宙の最初に何が起こったか。一番ドラマチックなところは、ヒッグス素粒子が現れ世の中の秩序が生まれるその前のところで何があったかなのです。宇宙がどんどんと大きく変化した瞬間があって、そこに秘密があります。

   それを知るためには、今まで発見された素粒子ではなく、影の世界の真実を知る必要があって、その影の一つがダークマターです。ILCはそれを解明するのが大きな目的で、解明されれば一番初めの宇宙進化の枝分かれの部分がまた一つ明らかになると考えられています」

   次世代実験装置のILCはセルンの実験装置とどこが違うか。セルンは山手線に匹敵する全長27キロの円形の装置で、円形のためにブレーキを掛けながら加速するので限界が指摘されている。ILC計画では東京・横浜間とほぼ同じ全長30キロの特殊な直線状の加速器をつくり、電子と陽電子をぶつけて宇宙誕生時の1兆分の1秒の世界を作り出し、宇宙創生のナゾに迫ろうというものだ。

   山下准教授によると、日本は超伝導加速器のパイオニアで、その技術と欧州の技術を掛け合わせた新しい加速器が2004年に選ばれ、国際チームで8年かけて昨年12月に技術設計書が完成したという。

候補地は北上山地と福岡・佐賀県境。建設費8000億円、経済効果4兆円

   設計図が完成したので次は候補地の選定。最終候補地として日本の2か所のほか、アメリカ、ロシア、スイスの3候補地が名乗りを上げている。北上山地を候補地に挙げている岩手県は「東北の復興のシンボルとして誘致したい」と意気込む。背振山地を候補にもつ福岡県も「空港、新幹線など交通インフラも整備され、外国語をマスターしている人が多く、誘致のための国際環境が整っている」と負けていない。建設費は8000億円と巨額だが、ILCには世界最先端の科学者やハイテク企業が集まってくるのでグローバル都市が誕生し、その経済効果は4兆円にのぼると見られている。

   山下准教授は「2年前まで競っていたが、今は日本にぜひやって欲しいと世界中の期待が高まっています。オールジャパンで取り組む必要がある」という。

   国谷「日本が候補地に選定されることの意義はなんですか」

   山下准教授「日本に対する世界の目が変わります。日本人、とくに子どもたちが日本に誇りを持ち、挑戦したいという気持ちが起きることの意義が大きいですね」

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2013年2月6日放送「ヒッグス粒子を超えろ~日本の巨大加速器計画~」)

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