死んだ子の児童手当不正受給―両親のウソ鵜呑みにするしかない自治体

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   3年近く前になるか、死亡した親の年金を不正受給した詐欺事件が相次いで明るみに出たことがあったが、今後は死んだ子どもを生きているようにみせかけ児童手当をだまし取った疑いで両親が逮捕された。

   詐欺の疑いで逮捕されたのは大阪市東住吉区のアルバイト従業員(53)とその妻(35)だ。調べでは、2006年に生まれた女の子が死亡しているのに、児童手当を申請し3回にわたり12万円を詐取した疑い。大阪市によると受給総額は93万円に上るという。

家庭訪問のたびに「元気にしている」「実家にいっている」と父親

   2006年5月に生まれた女の子は今年4月(2013年)から小学校に入学することになるが、就学前の入学説明会に出席しなかった。不審に思った市が警察に相談、警察が両親に事情を聴いたところ、「娘は生まれてすぐ具合が悪くなり死亡した。遺体は愛知県の海岸に流した」と説明したという。両親は出生届は出していたが、死亡届は提出せず、毎年の現況届にも女の子が存在すると記入していた。このため、市は児童手当の申請に基づき支給していた。両親は「生活のためになくてはならない金だった」と話しているという。

強制的な調査権

   それにしても、なぜ6年間も発覚しなかったのか。女の子は3か月検診などの定期検診にも1度も来ておらず、市はこれまで8回ほど家庭を訪問したが、そのたびに父親から「(女の子は)実家にいっている」「元気にしている」などといわれ、押し切られた。担当者は「養育者から問題ないといわれると、それ以上踏み込むのは難しい」という。実際、自治体には強制的に調査する権限はない。

行政の前提は性善説「国民のことは疑わない」

   弁護士の大澤孝征は「児童手当の申請に対し、行政は国民を疑わない。行政にも強制的な調査権を与えるべき」と提案する。さっそく、コメンテーターの舞の海秀平(スポーツキャスター)が「国民を疑わない、これが間違いではないかと思う。ある程度は疑った方がいいんじゃないかと思うところもある」と賛同する。

   舘野晴彦(月刊『ゲーテ』編集長)「親が子どもを虐待したり、殺したりしてしまう時代。それに対応する必要があり、今回の場合ももうちょっと踏み込んでもいいかと思うが、逆に自治体が権限を持ち過ぎて普通の家庭にどんどん入ってくるのもどうか。難しいところですよね」

   いずれにせよ、親の死を不正利用したり、子どもの死を悪用したり、想定外の悲しい犯罪だ。もっと気になるのは、女児は本当に病死だったのかという点だ。

文   一ツ石 | 似顔絵 池田マコト
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