2024年 4月 19日 (金)

瑛太うまかった「最高の離婚」、杉咲花の変貌に驚いた「夜行観覧車」…冬ドラマ面白かった度

   今期のドラマをすべて見ていたわけではないけど、印象に残ったものについて少し。まず、もっとも面白かったのは「最高の離婚」だ。瑛太がうまい! 今までのキャラとはかけ離れた細かくてめんどくさい男を好演し、大いに笑わせてもらった。脚本も素晴らしく、心にグサッとくるエピソードやセリフがいっぱい。

   たとえば、主人公の瑛太が昔付き合っていた彼女(真木よう子)は子供の頃、大好きだった父を海の事故で亡くし、色のない世界でぼんやり日々をやり過ごしてきた。そんなある日、天の啓示のように街角からジュディマリの曲「クラシック」が聞こえてきた。以来、彼女はいつかボーカルのYUKIちゃんみたいになりたいと夢を抱き、それを支えに生きてきた。そのことを恋人・瑛太に伝えたいと思っていたのに、流れた曲を耳にした彼は「安っぽい花柄の便座カバーのような音楽」とくさす。瞬間、彼女は思った。「こいつ、死ねばいいのに」。

   自分の大切なものを心ない言葉で否定されたときのこの感情って、わかる、わかる! と同時に、自分も他人に対して同様のことをしていなかっただろうかと、冷や汗が出てくる。

毎回泣いた「とんび」どんでん返しのハッピーエンドに安堵

   もう1つ、夢中になって見ていたのは「夜行観覧車」だった。さすが「告白」の湊かなえ原作、一瞬たりとも目が離せない。身分不相応の高級住宅地に引っ越したばかりに、幸せだった家族の歯車が狂ってしまう。あんなに素直だった娘・彩花の家庭内暴力がすさまじい。彩花役の杉咲花は味の素のホイコーローのCMでは愛くるしいのに、その変貌ぶりは見事。しかも奥深くの苦しみもしっかり伝わってくる。その娘をついには手に掛けそうになる鈴木京香の般若の顔も戦慄を覚えるほどで、女優ってスゴイわ。

   それと真逆の世界、父子愛を描いた「とんび」は、これぞTBSの真骨頂だ。毎回泣けて、じんわり心暖まる。ちょっとボケ気味の父が楽しみにしていて、毎日のように「きょうはとんびはないのか」と聞かれた。最終回の前振りで不幸な結末かと思わせておいてのハッピーエンドに、ほっと胸をなでおろす。主役の内野聖陽もさることながら、近所の人たち、なかでも柄本明、麻生祐未が光っていた。

ジャニーズ系も頑張った!長瀬智也の一生懸命、稲垣吾郎の微妙な芝居

   「泣くな、はらちゃん」は、マンガの世界から飛び出てきた無垢で一生懸命な主人公に長瀬智也がぴったり。ヒロインの心のつぶやきを綴った挿入歌「だからお願い、かかわらないで、私のことはほっといて」は、もはや私の頭の中をグルグル回っている。

   「ビブリア古書堂の事件手帖」は1話完結で見たり見なかったりだったけど、本にまつわるうんちくが興味深かった。毎回のテーマとなる本が、たぶん私は一生手に取らないだろうなという類のものが多かったので、エンドロールに流れるあらすじに惹かれた。ヒロインがイメージとちょっと違うという前評判もあったことだし、とりあえず原作は読んでみようかな。

   深夜の「心療中in the room」も気になるドラマだった。学校のカウンセリングルームを舞台にしたワンシチュエーションドラマで、精神分析医の稲垣吾郎と生徒たちとのほぼ対話のみで進行する。展開がまったく読めないので、ちょっとした表情の変化とか、微妙な間とか固唾を飲んで見守ってしまう。

   カウンセリングする稲垣の声がいい。生徒役のジャニーズJrの子たち(いいとも青年隊の子とか、キスマイの後ろの方にいる子とか)は今まで目立たなかったけど、けっこういい芝居をするので目をみはる。やっぱり明日のスターを輩出するには学園ドラマが必要ねとつくづく思うのである。

(ツキノ・ワグマ)

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