スマホアプリで行政参加「ガバメント2・0」市民と役所が街情報共有―千葉市でスタート

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「ガバメント2.0?」
「アプリみたいな名前だな」

   その通り。ネットやスマホで使うアプリで市民と行政を結びつけ、公共サービスの効率を上げようという運動の総称らしい。アメリカではすでに実用化が進み、日本でも動き出そうとしているという。いったいどんなものなのか。

米国では「24時間苦情受付」「救急通報で近くの登録市民急行」

   米東海岸のフィラデルフィア市のアプリは「Textizen」という。市民の声を吸い上げるツールだ。トロリーバスの車体や街角のボードにいろいろとアンケートが出ている。市民はアプリを使って市にショートメールを送る。それが集計されて民意が把握され、再開発計画の参考データになる。市民の意向を聞くため、これまではタウン・ミーティングを開いてきたが、予算が要るから回数は限られる。アプリならナマの声が集まる。

   フィラデルフィア市にはもうひとつ「Philly311」というのがある。公共施設破損についての24時間の苦情受付だ。ある女性がカベの落書きを見つけた。スマホで写真を撮って情報を送った。市は内容を確認して、清掃部門に対処を指示した。翌日、清掃車が来てきれいになった。情報を伝えた女性は「すごいテクノロジーよ。もう電話のたらい回しもない」と大喜びだった。

   このシステムは昨年(2012年)の大型ハリケーンのときも威力を発揮した。市内の被災状況を市民が刻々と寄せ、市は素早く復旧に動くことができた。「市民の英知のお陰で、行政の効率化を達成できた」という。狙いはドンピシャだった。

   「ガバメント2.0」を提唱したのは、ネット関連企業のCEOティム・オライリーさんだ。「いまの仕組みは自動販売機みたいなもの。税金を払うとサービスがもらえる。しかし、不満があっても機械を揺するくらいしかできない。ガバメント2.0なら、よりよい社会を市民が選択できる」という。

   カリフォルニア州から始まった救急救命ネットワークは、救急システムに市民を組み込む。たとえば、心臓発作の通報があると、半径400メートル以内にいる登録市民に知らせがいく。心臓発作で助かる確率は1分間で10%づつ減る。そこで救急車が着くまでの間、市民の手助けを求めるのだ。いま全米100地域で5万人が登録している。2年間に3000人が救命に参加した。

   「市民の力を引き出す仕組みを作ろうとしている」とアプリの開発者・リチャード・プライスさんはいう。多摩大学大学院の田坂広志教授は「喜んでいた女性の姿が象徴的です。この番組を見た人もその気になったでしょう」という。「予算や人手不足を市民に押し付けるのではなく、市民が取り組むことで行政サービスの質があがる」

災害時に威力発揮!「市民に手伝ってもらう行政」(千葉市担当者)

   日本でも、千葉市で6月から「FixMyStreet」というアプリの運用が始まる。公共施設のメンテナンスに市民の手を借りようというものだ。破損を見つけたらスマホで写真を撮って知らせる。市は全部自前で直すのではなく、登録市民に修理を依頼する。市には定年退職者などがペンキ塗りなどの手助けをする仕組みがある。

   いま市民ネットワークづくりの途中で、登録地域はまだ1割弱と前途多難だ。意識をアップさせる必要がある。また、市職員にもいろいろ戸惑いがある。「市民にものを頼むという発想がなかった。双方が考えを変えていく必要がある」と担当者はいう。

   田坂教授は「行政と市民のコラボは、民主主義の根本定義を見直すことにつながる。日本人の国民性は、本来、公共性がある」とかなり楽観的だ。さて、行政と市民と、どちらが早く適応できるか。東日本大震災はそう言う意味で双方に刺激であったはず。まずは千葉市の試みの行方を見守ってみたい。わが故郷である。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2013年4月1日放送「ガバメント2.0 市民の英知が社会を変える」)

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