2024年 4月 20日 (土)

死に方ぐらいが自分で決めたい…本人の意思より家族の「延命要請」優先の医療現場

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「延命。あれは私、断ります。分かんなくて生かしてもらうのはいや。穏やかで静かな最期を迎えたい」

   人生の最期をどう迎えたいか。生前に意思表示する高齢者が増えているという。希望通りの最期をどうすれば迎えられるか、具体的な方法を考える勉強会も各地で開かれ、延命治療を希望するかしないか、「事前希望書」に意思表示を書く病院も出現している。

   しかし、「その時」を迎えると希望が叶うのはきわめて難しいらしい。いざ容体急変すると、医師は家族から訴えられるのではないかと不安に駆られ、また使命感から延命治療をせざるを得ないのが現実だという。誰もが穏やかで静かな最期を望む一方、少しでも長生きをと願う家族の気持ちがある。その狭間で悩む医師を追った。

7割が「延命治療希望しない」

   厚生労働省が2008年に行った調査によると、「延命治療を希望しない」37.1%、「どちらかというと希望しない」33.9%、「延命治療を希望する」11%、「わからない」14.7%、「無回答」3.2%で、希望しない人がこの10年で2倍に増えていた。

   ただ、本人の意思に反して望んでいない延命治療が行われるケースが多いという。東京で最も救急患者の受け入れ数が多い救急救命センターの都立墨東病院(東京都墨田区)は、受け入れ数年間2500人のうち8割が高齢者だ。救急医の濱邊祐一医師はこう語る。

   「もう寿命だと思う高齢者でも、救急車で運ばれてきた以上、医師は手を尽くさざるを得ません。書面で本人が意思表示をしていても、家族から訴えられるリスクがあり、延命治療はやめられない」

   たしかに、家族の感情は理屈では割り切れないが、濱邊医師は家族が日頃から本人の希望を明確に把握し、最期を受け入れる準備に取り組んでおくことが大事だと指摘する。終末医療に詳しく、自らも在宅医療に取り組んでいる新田國夫医師(日本臨床倫理学会理事長)に、キャスターの国谷裕子が「患者本人の意思表示があったとしても、家族から助かって欲しいという声が出てきたとき、どっちを優先するか難しいでしょうね」と聞く。

「日常よくある話ですが、現在では標準的医療が選択されるんです。標準的医療というのは、人工呼吸器や人工栄養とかの医療になるわけですが、それによってなんとなく世間の標準としての満足感を得るということから選択されることが多いんです。
   それに家族(が望む延命治療)には利害関係もからみます。たとえば、年金目的とか相続目的などいろいろ問題が出てきます。しかし、大切なのは本人の意思、最大の決定権になると思います」
文   モンブラン
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