2018年 7月 23日 (月)

<ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの>
夫婦はなぜ現代アートを寄贈しつづけたのか?2人の人生こそ芸術だった

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Copyright(C)2013 Fine Line Media,Inc. All Rights Reserved.
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   現代アート作品を独自のルールで約30年も収集してきたニューヨークの夫妻を追ったドキュメンタリー『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』(2008年)の続編である。前作では夫妻がアメリカ国立美術館から依頼を受け、2000点以上のコレクションを寄贈するまでを追った。それから16年、コレクションは5000点近くまで増え、もはや国立美術館には収蔵しきれなくなってきた。

   そこで2人は、収蔵しきれなかった2500点のコレクションを全米50州の美術館に寄贈するプロジェクト(通称「50×50/フィフティ・バイ・フィフティ」)を立ち上げる。今作ではコレクションを受け取った全米各地の美術館や地元の反応、さらに2人のその後の人生にスポットを当てる。監督は佐々木芽生監督。

「集めた作品は売らない」「有名無名を問わない」がルール

   現代アート作品を受け取った各州の美術館の反応が実にさまざまで興味深い。大喜びの美術館もあれば、もともとアートが盛んではない地方では、どう作品を扱えばいいのかわからず、作品を作った画家を招き展示の仕方についてアドバイスを受ける美術館もあった。

   「現代アートには地方を変える力がある」と50×50プロジェクトを地域活性のチャンスと受け止め、美術館を拠点とした町おこしに意気込みを見せるハワイの学芸員の言葉が印象深い。つつましい夫妻によるアート寄贈プロジェクトというドキュメンタリーを通し、地方における美術館の存在やアートそのものが今の社会に本当に必要なのかを問いかけてくる。

   ある出来事を機に2人のコレクション人生は幕を閉じる。そのドロシーの潔い決断は夫婦の不変の愛の証明にも感じられ、涙しそうになった。一部でも売却すれば大金が入るのに、ハーブとドロシーは1点の作品も売らないことを信条に、自分たちの目だけを信じて、作家の有名無名に関係なく作品を収集し続けてきた。現代のおとぎ話のような2人の人生そのものが、ライブなアート作品だったように思えてならない。

バード

おススメ度:☆☆☆

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