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福島原発「急造だもの、汚染水漏れるさ」作業員はわかってたオンボロ貯水槽

   東電福島第1原発の汚染水はどこへ行くのか。広瀬直己社長はきのう10日(2013年4月)、放射性物質を含む汚染水が地下貯水池から漏れている問題で、すべての貯水池の使用をあきらめ、地上の貯水タンクなどに移し替える計画を発表した。しかし、毎日400トンずつ増えていく汚染水を最終的にどう処理するのか。後手後手の対策はいつか破綻するのではないかという不安が消えない。

「急げ、急げで、チェックも四重から二重になった」

   「とくダネ!」は福島原発で汚染水処理に携わる作業員に実態を聞いた。「急げ急げで、チェックを細かくやらない」「高い金出してこのありさまかという感じ」。怒りをあらわに語るのは福島第1原発で汚染水処理に従事している作業員だ。作業員宿舎なのか、アパートのような一室、マットが敷かれ、洗濯物がぶら下がり、隅にテレビが置かれている。そのテレビ画面は広瀬社長の記者会見を映し出している。

   社長は述べる。「地下貯水槽にある汚染水を全部取り出す方針で取り組んでいきたい。前倒しをして、どんどん貯水タンクを増設していく」。それを見ていた作業員が笑った。取材していたディレクターが聞く。「なんで笑いました?」

   作業員「言うのは簡単ですよ。つくる人のことを考えてやれよって。(汚染水タンクを)つくれと言って急がせているのに、それ以上に1日でも早くといわれたら、笑うしかない。早くさせるのはいいんですけど、その分、適当にされたらどうなるか」

   トラブルが増える理由について、「急げ急げでつくったが、どこかしら漏れると思う、あれだけ大きくやれば――。チェックも細かくやらない。前は三重、四重のチェックだったが、二重チェックでは2人が見逃したら終わり」

   別の作業員はそのしわ寄せが現場にきていると話す。居酒屋なのか、テーブルの小皿とコップを前に語る。「今の作業に携わっている人間はほとんどやめた。震災当時から緊急作業に携わって1年ぐらいで心が折れた。(作業員は)全然足りない」

   2人の現場作業員の話から、焦りにも似た突貫工事の様子が目に浮かぶ。

タンク増設しても47日で満杯

   レポーターの岸本哲也が現状を説明する。「汚染水は1日400トン増えています。現在、地上のタンク29万トン、地下貯水槽6万トンの保管容量がありますが、今後、地下貯水槽は使わないので、保管可能な容量は地上タンクの29万トンだけです。しかし、すでに28万トン保管されていますので、余力は1万トンのみ。つまり、残り25日分しかないということになります

   東電は5月末までにさらに1万9000トンのタンクを増設する計画を立てていますが、これでも47日分です。広瀬社長は今後どんどん貯水タンクを増設していくといっています」

   先月(2013年3月)、現場を訪れた司会の小倉智昭はこう話す。「東電の社長、よくそんなことサラッと言えるなと思う。核燃料棒の冷却に何年かかるのか。あたり一面プールになるという話でしょ、現実離れしていますよ」

   コメンテーターの中江有里(女優、脚本家)「もし海に出ていくようなことになったら、東電だけでなく日本国の問題になりますよね」

   すでに東電に任せておいていい話ではなくなっている。