2024年 4月 25日 (木)

アベノミクス賃上げたった「51円」のカラクリ―定昇分も加えて大幅アップとは図々しい

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<黒田さんは、日銀による国債購入を増やすことで、2年で消費者物価上昇率を2%に引き上げようとしていますが、とても無理です。
   国債の購入で、資金供給量をこれまでの2倍の約270兆円に増やすと言っているわけですが、大事なのはお金を企業が借りたいと思うか否か。いくら国債の買い上げで日銀が銀行にお金を回しても、それは企業にまで行き届かなければ、景気は良くなりません。しかし、今の日本の企業に設備投資するマインドはなく、資金需要はない。結局、銀行にお金が留まってしまい、何も変わらない。
   ユーロ危機などがあり、日本に資金が流入しましたが、いわば『国債バブル』。いつ国債価格が下落するか分かりません。これまで銀行は、国債の売却益で儲けていましたが、もし金利が上昇すると、売れば損する。したがって、銀行は国債を手放さずに償還期限まで保有し続け、金利を得ようとする可能性が考えられます。つまり、企業どころか、銀行にもお金が流れなくなる。その時、日銀はどうするか。禁じ手とされる『引き受け』に手を染めるかもしれません>

   これは『週刊新潮』で一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏が、アベノミクスで起きるかもしれない「最悪のシナリオ」を語った部分である。引き受けというのは、市場を介さず直接日銀が政府から国債を購入することだそうだ。そうなると、政府が財政支出を抑える必要がなくなり、支出が止めどなく増えてインフレが起きる。それを予想した投資家が海外に逃げ、国債が暴落し、円安で輸入物価が高騰して2%どころではない超インフレになる危険性があるというのである。

   ここへきてようやくアベノミクスへの危機感が出てきたようである。それはそうだろう。黒田日銀総裁は就任早々、大胆な金融緩和政策を発表して株式市場は大いに沸いたが、いくら目先の参議院選へのなりふり構わない援護射撃とはいえ、すでにして持ち玉を使い切ってしまったのではないか。

65歳定年制で給料大幅ダウン!延長後の給料「実は自分の賃カツ分」

   『週刊ポスト』とアベノミクス礼賛派の『週刊現代』が、ともにアベノミクスの陰の部分をとりあげている。まずは週刊ポストの「『アベノミクスで給料アップ』真相は『51円』でした」から見てみよう。

   日経新聞は「組合員の平均年収の増加率は、安倍晋三政権が目指す物価上昇率目標の2%を軒並み超える見通しだ」と予測し、サラリーマンは給料大幅アップの期待を大きく膨らませ例年より早い花見に酔ったのに、現実はどうだったのだろうか。

<これから労使交渉の佳境を迎える中小企業のサラリーンは、大企業の結果を知ると落胆するはずだ。
   連合はエイプリルフール翌日に大手企業の春闘回答(第3次集計)を発表した。それによると、傘下の1456組合の平均賃金引き上げ額は前年比でなんと月額「51円」の増加にすぎなかった。給与体系の底上げがないまま、勤続年数を1年重ねたことで上がる定期昇給は賃金アップとはいわないからだ。経営側は「アベノミクスに協力する」とあれだけお祭り騒ぎをしておいて、賃上げ効果がわずか51円ではサラリーマンは泣くに泣けない。
   業績急回復で業界全体で3兆円近い営業利益を見込んでいる自動車メーカーにしても、業績に連動する一時金を引き上げただけで賃金アップは全くなかった>(週刊ポスト)

   逆に電機メーカーでは賃下げも起こっている。多くのサラリーマンにとってアベノミクスによる賃上げは幻でも、この4月(2013年)から導入された「65歳定年制」(雇用延長義務化)に伴う給料大幅ダウンは過酷な現実になっていると、週刊ポストは続ける。

<東証1部のあるメーカーは、今年度から55歳になると給料とボーナスを毎年3%ずつ減らし、それを60歳以降に雇用延長した際の給料にあてる制度を導入した。
   55歳で年収が600万円の社員なら、60歳時点の年収は約516万円に下がり、5年分の給料削減額は約257万円になる。55歳の年収1000万円の社員は432万円のカットだ。
   それが延長後の給料になるといわれても、会社は60歳以降の社員に『労働の対価』を払うのではなく、その社員が貯めた『貯金』を給料名目で払い戻すにすぎない>

   これでは何のための定年延長なのかわからないではないか。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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