アベノミクス賃上げたった「51円」のカラクリ―定昇分も加えて大幅アップとは図々しい

印刷
<黒田さんは、日銀による国債購入を増やすことで、2年で消費者物価上昇率を2%に引き上げようとしていますが、とても無理です。
   国債の購入で、資金供給量をこれまでの2倍の約270兆円に増やすと言っているわけですが、大事なのはお金を企業が借りたいと思うか否か。いくら国債の買い上げで日銀が銀行にお金を回しても、それは企業にまで行き届かなければ、景気は良くなりません。しかし、今の日本の企業に設備投資するマインドはなく、資金需要はない。結局、銀行にお金が留まってしまい、何も変わらない。
   ユーロ危機などがあり、日本に資金が流入しましたが、いわば『国債バブル』。いつ国債価格が下落するか分かりません。これまで銀行は、国債の売却益で儲けていましたが、もし金利が上昇すると、売れば損する。したがって、銀行は国債を手放さずに償還期限まで保有し続け、金利を得ようとする可能性が考えられます。つまり、企業どころか、銀行にもお金が流れなくなる。その時、日銀はどうするか。禁じ手とされる『引き受け』に手を染めるかもしれません>

   これは『週刊新潮』で一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏が、アベノミクスで起きるかもしれない「最悪のシナリオ」を語った部分である。引き受けというのは、市場を介さず直接日銀が政府から国債を購入することだそうだ。そうなると、政府が財政支出を抑える必要がなくなり、支出が止めどなく増えてインフレが起きる。それを予想した投資家が海外に逃げ、国債が暴落し、円安で輸入物価が高騰して2%どころではない超インフレになる危険性があるというのである。

   ここへきてようやくアベノミクスへの危機感が出てきたようである。それはそうだろう。黒田日銀総裁は就任早々、大胆な金融緩和政策を発表して株式市場は大いに沸いたが、いくら目先の参議院選へのなりふり構わない援護射撃とはいえ、すでにして持ち玉を使い切ってしまったのではないか。

65歳定年制で給料大幅ダウン!延長後の給料「実は自分の賃カツ分」

   『週刊ポスト』とアベノミクス礼賛派の『週刊現代』が、ともにアベノミクスの陰の部分をとりあげている。まずは週刊ポストの「『アベノミクスで給料アップ』真相は『51円』でした」から見てみよう。

   日経新聞は「組合員の平均年収の増加率は、安倍晋三政権が目指す物価上昇率目標の2%を軒並み超える見通しだ」と予測し、サラリーマンは給料大幅アップの期待を大きく膨らませ例年より早い花見に酔ったのに、現実はどうだったのだろうか。

<これから労使交渉の佳境を迎える中小企業のサラリーンは、大企業の結果を知ると落胆するはずだ。
   連合はエイプリルフール翌日に大手企業の春闘回答(第3次集計)を発表した。それによると、傘下の1456組合の平均賃金引き上げ額は前年比でなんと月額「51円」の増加にすぎなかった。給与体系の底上げがないまま、勤続年数を1年重ねたことで上がる定期昇給は賃金アップとはいわないからだ。経営側は「アベノミクスに協力する」とあれだけお祭り騒ぎをしておいて、賃上げ効果がわずか51円ではサラリーマンは泣くに泣けない。
   業績急回復で業界全体で3兆円近い営業利益を見込んでいる自動車メーカーにしても、業績に連動する一時金を引き上げただけで賃金アップは全くなかった>(週刊ポスト)

   逆に電機メーカーでは賃下げも起こっている。多くのサラリーマンにとってアベノミクスによる賃上げは幻でも、この4月(2013年)から導入された「65歳定年制」(雇用延長義務化)に伴う給料大幅ダウンは過酷な現実になっていると、週刊ポストは続ける。

<東証1部のあるメーカーは、今年度から55歳になると給料とボーナスを毎年3%ずつ減らし、それを60歳以降に雇用延長した際の給料にあてる制度を導入した。
   55歳で年収が600万円の社員なら、60歳時点の年収は約516万円に下がり、5年分の給料削減額は約257万円になる。55歳の年収1000万円の社員は432万円のカットだ。
   それが延長後の給料になるといわれても、会社は60歳以降の社員に『労働の対価』を払うのではなく、その社員が貯めた『貯金』を給料名目で払い戻すにすぎない>

   これでは何のための定年延長なのかわからないではないか。

財務省が狙う「資産課税強化」地方の固定資産税を増税

   週刊現代は安倍政権は70歳以上に「資産課税」をして歳入を増やす腹づもりだと書いている。<まず真っ先に増税のターゲットにされるのは土地だ。元財務官僚で、現在は法政大学准教授の小黒一正氏が言う。

「米アトランタ連銀のブラウン氏と南カリフォルニア大学のジョーンズ教授の試算によれば、日本がインフレ率2%を実現できたとしても、財政安定化を達成するためには、消費税は25.5%まで上げなくてはならないとしています。しかし、消費税を20%近く増税するというのは、世論の反発を考えると難しいでしょう。代わりに、所得税の増税でやるとなれば、実は40%近くも増税しないといけない計算になるので、さすがに論外です。
   では、消費税でも所得税でもない課税で財政再建をやろうとすれば、資産課税しか残された手はありません。最も考えられるのは、固定資産税の増税です」

   その手法は次のようなものだという。

「中核都市の税率は据え置く一方で、それ以外の地域の固定資産税を増税するのです。個人などが持つ不動産資産は最低700兆円はあるといわれており、課税対象としては大きい。そのうえ、過疎地などを増税することで中核都市への人口の移動を誘導できるため、過疎地のインフラ整備などが抑制できるというダブルの効果が享受できます。経済学者の間では有効な手段として現実的に議論されている話です」

   有効かどうかは知らないが、またぞろ財務省の口車に乗って財政再建のために増税するというのである。安倍首相は第1次のときには公務員改革に熱心だったが、今回は公務員改革のこの字もいわなくなってしまった。財務省に睨まれるとアベノミクスが危ういと思っているに違いない。財務省の飽くなき権限拡大にストップをかけないと、日本は大変なことになると思うのだが。

橋下大阪市長よ!朝日は金輪際自分のことを批判するなということかい?

   橋下徹大阪市長が『週刊朝日』に噛みついている。4月12日号で「賞味期限切れで焦る橋下市長」とやったのがケシカランというのだ。たしかに彼の言動は以前ほど関心を集めないし、バラエティ番組への露出が増えているのだろう。

   書かれたことが事実と相違するなら抗議すればいい。それをまた、自分の出自を週刊朝日が書いて謝ったことを持ちだし、加害者が反省もなく自分のことを誌面で批判するのは許せんというのはまったく解せない。

   この人、顔が童顔なだけでなく、頭の中も成長していないのではないか。あの件で、朝日側は報道陣の前で橋下に謝り、朝日出版の社長が辞任し、編集長が更迭された。それでけじめがついたと、橋下は会見で語ったではないか。1度過ちを犯した者は2度と自分を批判してはならぬというのは、ヒトラーを超えた独裁者のいい草である。この男の辞書には言論・報道の自由という言葉がないらしい。

   それほど批判されるのが嫌なら、さっさと市長を退き市井の片隅でひっそりと余生を過ごせばいいのだ。そうした覚悟もなく、ツイッターで悪口雑言をまき散らす自分勝手な男に牛耳られる大阪人が、哀れに思えてくる。

「朝鮮人殺せ」で心配な…世論と勘違いする政治家

   哀れといえば、以下のようなことをいった大阪鶴橋(生野区)の女子中学生も哀れである。「みなさんが憎くて仕方ないです。もう殺してあげたい。いつまでも調子に乗っとったら、南京大虐殺じゃなくて鶴橋大虐殺を実行しますよ!」。これは週刊文春でジャーナリストの安田浩一氏がルポしている「『朝鮮人を殺せ!』新大久保〈ヘイトスピーチ団体〉って何者?」の中に出ている。

   私が住んでいるところから近い新大久保はコリアンタウンとして有名で、週末になれば若い女性や中年のオバサンたちでいっぱいになり、有名店には長い行列ができる。そこで毎週のように行われているのが「特定アジア粉砕・新大久保排害カーニバル」と称される「嫌韓デモ」である。日の丸と旭日旗を振り「朝鮮人売春婦を叩き出せ!」「韓国人は国に帰れ!」と大声で叫びながら拳を突き上げて通る。聞くに堪えない韓国人を侮辱する言葉も吐かれる。「朝鮮人ハ皆殺シ」という殺人教唆のようなプラカードもあり、在日コリアンの中には日本で暮らすのが不安だともらす者もいるという。

   それを批判する人々も集まりはじめ、「レイシストは帰れ」「仲良くしようぜ」などと書かれたプラカードを掲げて無言の抗議をしているという。

   それが大阪のコリアンタウンにも飛び火したのである。先の女子中学生の父親は地元では知られた民族派の活動家だという。父親は「我が国に喧嘩を仕掛けているのは韓国のほうじゃないですか。(中略)ヤツら(韓国人)は竹島を奪い取り、ときには日の丸を燃やしたりするなど過激な反日活動を繰り返している」と語っている。

   日本と韓国の間には不幸な歴史があった。それは60余年ぐらいでは消し去ることのできない深い傷を朝鮮の人たちに植え付けてしまったのである。ノンフィクション・ライターの本田靖春さんは『現代を視る眼』(講談社)の中でこう書いている。

<朝鮮の民衆の意志と誇りを踏み潰して、のちに「土地を奪い、名を奪い、言葉を奪った」といわれた朝鮮支配は推し進められたのである。どこからどう見ても、日本は「加害者」であり、朝鮮は「被害者」であった。これは、明白な歴史的事実である>

   「ネトウヨ」といわれるネット右翼のいい分は一部のもので、多くの国民は冷静で理性的である。だが、こうした声を世論と勘違いする政治家も中にはいる。いま起こっている北朝鮮の挑発行為は許されることではないが、だからといって、必要以上に過剰反応してしまうことは、もっと危険な状態に北を追い込むことになるはずである。ここは日本人が大人になって、あくまでも話し合いをする努力を続けることこそ肝要であろう。

新型鳥インフルエンザ「中国感染者」数万人説―すでに日本に入ってきてる

   中国・上海周辺で起きている新型鳥インフルエンザ「H7N9」で、多くの感染者が出て、死者も増え続けているようだ。週刊文春は上海や杭州市のルポをやっているが、中国では「H7N9」の感染が疑われる鶏であろうと平気で市場に出回っていて、拡大は避けられないのではないかと書いている。感染者はすでに数万人いて、ウイルスは日本にも入ってきているのではないかという専門家の話を掲載している。

   ならばどうするか。週刊新潮はワクチンは間に合わないから、2009年に新型インフルエンザが流行したときに、私も服用したことがあるが、抗インフルエンザ薬のタミフルがいいというのである。

   それ以外では吸入薬のリレンザ、点滴薬のラビアクタ、吸入薬のイナビルも効くそうである。心配な方は「タンスにタミフル」を。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter

このエントリーはコメント・口コミ受付を終了しました。

注目情報PR
追悼

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中