「木造」で街を作れ!横浜にカラマツ使った4階建て大型建築―見直される耐震性

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   いま横浜で建設中のショッピングセンターは、2階から4階までの構造材に木材が使われている。長さ12メートルのカラマツだ。完成すると、日本初の木造大型建築になる。大阪では3階建てのオフィスビルが完成した。東京でも5階建ての集合住宅が建設中だ。いずれもキーワードは「木造」である。

火災にあっても自然に消える特殊加工

   戦前の日本には優れた木造技術による4、5階建ての木造建築がたくさんあったが、戦時中の空襲で火に対する弱さが際立ったため、1950年の建築基準法で高さ13メートル以上の木造は禁止された。以来半世紀、2000年の同法改正で「耐火性があれば可」となるまで空白の歴史を刻んだ。その後、2010年に「公共建築物の木材利用促進法」ができ、学校、病院などで木造が進められた。温暖化対策と森林資源の活用による地域経済活性化がねらいである。戦後植林された資源がちょうど伐採の時期にある。弱点だった耐火性、品質のバラツキが解消されたのも大きい。

   横浜でも使われている新しい柱は火が自然に消える特殊な工夫がされている。3層になっていて、外側は燃えると炭素の層になって耐熱効果を発揮し、その内側はモルタルなどが組み込まれて熱を吸収する。1000度の炎に1時間さらされた試験でも、内部の芯の部分はなんともない。素材のバラツキはエンジニアードウッド(集成材)と呼ばれる合板技術によって耐震性能を科学的に解析できるようになった。設計者は「昔の大工さんは勘でやっていたが、構造計算できるようになった」という。強度と木材だけが持つデザイン性の両方を得たのだ。

   山形市の企業「シェルター」はこの10年で、学校、幼稚園など500か所以上の公共建築を木造で作ってきた。とくに注目されたのが、宮城・栗原市の栗駒総合支所の庁舎だ。東日本大震災でもびくともせず、地域の防災拠点になった。耐震性が高い「接合金物工法」が特徴だった。木造の柱と梁の接合はホゾとホゾ穴だが、金属を使って構造を単純化したことで強度も上がった。同時に、工場で加工したものを現場で組み立てるだけだから、熟練も要らず時間も短縮、費用も安くなった。木村一義代表取締役は「最先端の建築技術を織り込むと、世界のどこにもない木造都市ができる」という。

   さらに進んで、地域の木を使って地域の振興を目指しているのが、同じ山形の南陽市のプロジェクトだ。「林業だけじゃなく、大工さん、職人、左官屋さんと、地元にお金が落ちる」 (木村氏)

東日本大震災被災地・東松島は「木化都市構想」

   大震災の被害を被った東松島市では、基盤整備にも木を生かそうという「木化都市構想」を打ち出している。林業振興だけでなく、建物、インフラにまで「木を使い尽くす」という。手始めに太陽光発電パネルの架台を木でつくった。道路のガードレールだって木にできる。昨年秋(2012年)に作った仮設の診療所も木だ。

   日本は長いこと豊かな資源を活用してこなかった。安い輸入材が国内林業を追い込むのを放置してきた結果、自給率は27%でしかない。東大大学院の安藤直人特任教授は「材料も技術も法律も整った。戦後の植林がいま樹齢に達しています。利用したら新たに植えて、これを持続可能なものにしたい」という。

   なるほど、木の時代が来たということか。だが待てよ。永遠に続くかと思われた林野特別会計の泥沼はどうなったのか。まさか、「公共事業なら多少高くても平気」なんていうマジックではあるまいな。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2013年4月18日放送「進む都市の『木造化』~林業再生への挑戦~」)

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