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<空飛ぶ広報室>
今が旬の綾野剛と新垣結衣で自衛隊宣伝ドラマ?透けて見えるアベノポリティックス怖い

   これって自衛隊の宣伝ドラマなの? 航空自衛隊広報室が舞台の青春ドラマだけど、全部がまるごと航空自衛隊の広報活動みたいだ。ドラマ中で広報室キャップの一佐・鷺坂(柴田恭兵)がいみじくも「TVドラマの災害救助場面に自衛隊ヘリが3分間(正確なセリフはちょっと忘れたが)映ったら3億円の広告効果だ」と言うが、全部だったらいったいいくら? スポンサーの日本生命、花王、サントリー、東芝各社さん、ご苦労様。

近ごろ増えてる「制服萌え」女子狙い

   演じる2人の主人公は、今を時めく綾野剛と、キリッと可愛い新垣結衣。最近は制服に萌えるという若い女性も増えているそうだから、綾野剛に制服を着せてアピールを狙ったのかしら。私としては、「萌えるなら佐川急便のお兄さんにしてね」と言いたい。軍服に萌える女の子というと、数年前の8月15日、靖国神社で見た若い女たちを思い出してしまう。

   白い開襟シャツに絣のモンペ姿で、日の丸の鉢巻きを締め、ヘアスタイルは三つ編みのお下げ。昔の女学生よりはどう見ても10歳は年上だったが、なんのつもりか、これまた時代錯誤の兵隊姿で境内を行進しているジイサンや若い男(不思議と働き盛りの男はいない)の後をついてまわったり、頼まれもしないのに参拝に来た老女の手を引いたりしていた。

航空自衛隊は「空軍」、「戦闘機は人殺し機械」って…間違ってませんよね?

   第1回は主人公・空井(綾野剛)が乗った戦闘機の演習シーンで始まった。「ふーん、こんなものか」と思ったけど、好きな人はカッコいいと思うんだろうな。事故で足を痛め、ブルーインパルスに乗るという目標を失った空井は、魂が抜けたようになる。だが広報室に配属され、TVディレクターのリカ(新垣結衣)に出会うことで新たな目標を見出してゆく。てな具合で、まことに真面目、したがって実に教育的なドラマなのである。

   リカのレベルを一般市民に見立て、最初に「空軍」と言ってしまうリカに、「日本に空軍はありません。日本に軍隊はありません。空軍ではなくて航空自衛隊です」と慇懃(いんぎん)に諭(さと)す。また、「戦闘機って人殺しのための機械ですよね」という、しごく当然の質問には、「人を殺したいと思ったことなど一度もありませんっ」と激高したりする。機械の機能と使用目的についての質問に自分の気持ちを答える筋違いはどうしてくれるのかなあ。

   なんだかなあ。アベノミクスのバラ色の霧の中から、そろそろ「頃は良し」と、アベノポリティクスが桜色のお面をかぶってチラ見せを始めたのか。「能あるタカは爪を隠す」と言うから、ずっと隠しておいたほうがいいと思うけど。そのほうが怖いし、第一、隠しといたほうが「能ある」ように見えるよ。(TBSテレビ 日曜日午後9時~)

(カモノ・ハシ)