2018年 7月 19日 (木)

<真夜中のパン屋さん>
滝沢秀明おいしそうで困る真夜中のパン…死んだ妻が引き合わせる奇妙な人間模様

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   このドラマを見る時は、とりあえず残りご飯でおにぎりを作って食べ、腹ごしらえをする。空きっ腹だと、見ているうちにパン屋さんに買いに走りたくなってしまうからだ。そのくらいパンがおいしそうなのね。

   なぜか、このパン屋さんの開店時間は23時から朝5時、つまり真夜中しか営業していない。そんな時間にくるお客さんは大体がワケありで、寡黙な店主を中心にさまざまな人生模様が繰りひろげられ……あれ?どこかで見たような…。そうだ、「深夜食堂」(2009年と2011年、TBS系列で放送)そっくりではないか。

   違うのは、「深夜食堂」は小林薫演じる店主がひとりでやっていて、店主自身の私生活は謎のままだったのに対し、このパン屋「ブランジェリークレバヤシ」はオーナーの暮林(滝沢秀明)がブランジェ(パン職人)の弘基(桐山照史)とふたりでやっている。そして、そのふたりには、半年前に死んだ暮林の妻・美和子(伊藤歩)をめぐる因縁がある、というように、店の内部の人間関係もまた大きなウエイトを占めていることだ。

都会のひとびとのハートフル・ストーリーに潜むちょっと薄気味悪さ

   「真夜中だけ開店するパン屋さん」というコンセプトは美和子の考えだったらしく、夫の暮林と美和子を愛していた弘基が、一緒になって一生懸命彼女の遺志を継いでいる形なのである。本人は死んでしまってはいるものの、これってある意味、女の理想かも。

   そんなパン屋さんに突然現れたのは、美和子の腹違いの妹と称する女子高生の希実(土屋太鳳)。ここを訪ねるように言い残して、母はいなくなってしまったという。そんな希実を暮林は何の躊躇もなく店の2階に住まわせる。よく考えれば、美和子の父は20年以上も前に亡くなっているのだから、高校生の子供がいるわけはないのに。黙って受け入れる暮林という男は不自然なまでに優しいのだ。

   同じように母が家出して取り残された8歳の小学生・こだま(藤野大輝)が、店に入り浸ってパンを作っているうちに居候になったり、孤独な覗きおじさん(六角精児)やニューハーフのソフィア(ムロツヨシ)が登場したりする。

   たしかに、「都会のひとびとの心の交流をあたたかく描くハートフル・ストーリー(公式ホームページ)」なのだが、なんだか死んだ女が生きた人間たちをみんな操っているようで、ちょっと薄気味悪い気もする。(NHK BSプレミアム日曜よる10時)

(カモノ・ハシ)

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