グローバル企業あの手この手の税金逃れ…英国議会スタバ事情聴取

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   昨年12月(2012年)、英国であるデモが行われた。デモに参加した若者たちは「税金を払え!」と大声で叫びながら練り歩いた。参加したスティーブン・リードさんは「友人や知人の中に、仕事に就けない人が何人もいる。政府は緊縮財政だから仕事がないといっているがそれは違う。グローバル企業が定められた税金を払わず、国外に逃げ出しているからだ」と憤慨した。国境を越えた税金逃れの租税回避は増加する一方だ。

   内多勝康キャスターは「世界的にビジネスを展開する多国籍企業で租税回避の動きが強まっています。税率の高い国から低い国へ利益を移転しているのですが、その総額は年間で数十兆円ともいわれ、税率の高い国へ大きなダメージを与えています」と説明した。

英国700店舗の利益を税金安いオランダに移転

   スターバックスコーヒー英国法人は本社を税率の低いオランダに移転した。オランダ本社には英国全土に約700店舗を展開する英国法人の利益が集まってくる。さらに、コーヒー豆の支払いのために、同じく税率の低いスイスの関連会社に2割増しの資金を送っていた。これを英国議会は税金逃れとして、スタバの幹部を議会に呼び事情聴取した。幹部は税金逃れを否定しながらも、「オランダは税率が低く、企業にとっては魅力的な国だ」と語った。

   内多は「こうした税率が低い国の他に、タックスヘイブンと呼ばれる税金が著しく軽いか、まったくない地域があります。中でも注目されているのがカリブ海に浮かぶケイマン諸島で、ケイマンには法人税や所得税がありません。そのため世界中から約9万3000社が集まっています」と伝えた。ケイマンの経済団体代表は「ケイマンがなければ、企業のグローバル化は成立しない。その結果、世界経済は疲弊してしまう」と語る。

   世界の租税システムに詳しい青山学院大・三木義一教授に、内多が「税負担行為として、今どんなことが行われているのでしょう」と尋ねた。

   三木教授「大きく分けて3つあります。1つが節税。これは庶民の間でも行われており適法です。次が脱税で、違法行為でやってはならないことです。そしてこの間に、適法だけど税に関して国の内外でおかしな動きを見せるのが租税回避です。租税回避はタックスヘイブンなどを利用した複雑な節税スキームを駆使し、税務当局の目を逃れています」

日本の租税回避2800億円。これでも氷山の一角

   税収不足に悩む先進国間では、国境の壁を越えてタックスヘイブンや租税回避スキームへの包囲網を形成する連携が始まっている。ロンドンとワシントンに本部を置く国際タックスシェルター情報センター(JITSIC)を取材した岡田真理紗(NHK社会部記者)が報告した。「秘密保持のため、本部がどこにあるかわかるような映像は撮らないという条件で取材が許可されました」

   センターには昨年7月から国税庁の今成剛が派遣されていた。国税庁から指示があった日本企業の資金操作の解明を担当している。内多は「こうした国を越えた連携は今後、進展しますか」と三木教授に聞く。

   三木教授「これまで税のシステムはバラバラでした。そのため、グローバルに事業を展開する企業の動きの全体を見るということが困難でした。でも、各国の連携が進み、日常的に情報交換ができるようになれば、それぞれの国の税務当局はすぐに新たな動きをつかめます。

   租税回避が活発化すれば、その分の税金は誰が負担するのか。国境を越えられない庶民で、やがては民主主義の根幹を揺るがします。民主主義を守るためにも、国家間の連携が必要です」

   租税回避をする企業の背後にはタックスプロモーターと呼ばれる税理士や会計士のグループが存在し、各国の税の抜け穴を探しては入れ知恵をする。日本の国税当局によると、海外がらみの申告漏れ2800億円を超えるという。しかし、これでもごく一部に過ぎない。

ナオジン

NHKクローズアップ現代(2013年5月27日放送「『租税回避マネー』を追え~国家vs.グローバル企業~」)

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