2024年 3月 29日 (金)

変わり身早すぎないか「週刊現代」株投資さんざん煽っておいて一転「大暴落が来る!」

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   <「暴落が起こった日はシカゴの先物市場も急落している。つまり地球の裏側から売りが仕掛けられたということです。株式市場は6割が外国人で占められていますから、彼らはマーケットの主導権を握っている。そして、外国人投資家は日本株を持っていることが、もはやハイリスクだと感じていたのです。

   その理由はアベノミクスを象徴する『3本の矢』のメッキが剥がれてきたということに尽きます。日本経済は1本目の金融緩和によって大幅な円安になりましたが、実態は政府による為替介入です。ところが、今度は国債が下落してるのに、為替は円高に触れ100円台に戻ってしまった。もう金融緩和が効かないと判断されたのです」(元SMBCフレンド証券投資情報部部長の中西文行氏)

   「暴落はもう二発、三発とあれば下げ局面に変わってしまいますが、月足で相場の流れを見ていると、去年からのなだらかな上昇曲線の中で少し落ちたというレベルです。5月一杯は1万4000円~1万6000円の間で動いてきましたが、チャートはまだ上向いている。ということは、もう一度、株価は年初来高値の1万5942円を目指し、さらには2007年2月26日につけた1万8300円に向けて上昇していくのではないかと考えています」(現役トレーダーの上山英徳氏)>

   これは5月23日に大暴落し、その後乱高下している株価について、『週刊新潮』が「株の売り時その根拠」を専門家8人に実名で証言させている特集に出てくるコメントである。真反対の見方が出てくるということは、誰も今回の株安の原因をはっきりわかっていないということだろう。

「間もなく3万円相場」記事信じて株買った読者もいるだろうに…

   きょう(2013年5月30日)の株式市場も全面安の展開で、安倍内閣の経済閣僚たちも大慌てである。だが、もっとあわてているのが『週刊現代』。株が上がる株が上がる株が上がるぞ~と囃し立ててきた週刊現代が180度転換して「大暴落から早く逃げよ」と巻頭特集を組んだ。驚くべき変わり身というしかない。

   もちろん週刊誌だから毀誉褒貶は日常茶飯事。驚くことではないのだろうが、それにしてもちょっと前まで3万円もあると煽っていたのにと思わざるをえない。

   この欄でも何度か書いたが、株高・円安誘導は安倍政権が有効な手を次々繰り出したからではない。アベノミクスという言葉と国民の期待感がマッチし、そうした空気が後押ししたに過ぎない。物価は上昇し、長期金利も上がり、アベノミクスの副作用が目に見えるかたちで出始めたところへ、アメリカや中国の不安材料が重なり、歴史的といってもいい大暴落へとつながったのであろう。

   週刊現代は「もう売るしかない」と小見出しをつけ、<結局、日本株はアベノミクスで上がっていたのではなく、米国の動向を受けていただけに過ぎない。「米国がくしゃみをすれば、日本が風邪を引く」という構図は21世紀になっても変わっていないのだ>と書いているが、おいおい、いまごろそんなことに気がついたのかと、こちらもビックリである。

   日本が欲しがるシェールガスについても、シェールガス会社による投機的なやり方が問題になっており、これを実行しているのが投資会社だから<「シェールガス革命はバブル以外のなんでもない」(MITのモリス・アデルマン名誉教授)>というのである。

   結びで週刊現代は<先般の暴落はまだ端緒にすぎない。株式市場のさらなる大暴落はすぐそこまできている>としているが、これまで週刊現代を読んで株を買ってきた読者は、この記事をどう読むのだろうか。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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