便利だけど怖い「顔認証」悪質サポーター判別して入場お断り―ブラジルのサッカースタジアム

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   顔で本人かどうか判別する顔認証技術の応用が広がり始めている。人の顔は表情の変化、顔の向き、帽子やマスクの着用によって簡単に変装が可能で、指紋や目の虹彩が持つ模様と違って、過去に写した写真と照合するのは難しいとされていた。ところが急速な技術の進歩で顔による認定が可能になっているのだ。

   ただ、プライバシー侵害の問題も提起されており、急速に利用が広がる顔認証技術によって今後、社会がどう変わっていくのか予測するのも難しい。

大阪テーマパークで実験!帽子、付け髭、マフラー変装見破られた

   年間1000万人近くが訪れる大阪のテーマパークでは、年間パスを使うリピート客を対象に、入場ゲートで顔認証技術が使われている。事前に登録した顔写真と同一人物かどうかを機械が自動的に判別し、一致すればパスを提示しなくても入場できる。その判別能力を試そうと、帽子、付け髭、あごをマフラーで隠して変装したところ、簡単に識別し「Welcome」の表示が出た。

   東日本大震災の被害にあった宮城県亘理町では、津波で流された持ち主不明の写真6万枚が保管されている。これを持ち主に返そうと顔認証技術が威力を発揮している。津波に流された被災者の顔写真と照合して、身元判明に成果を挙げている。

   顔認証技術をさらに進化させ、ガラスの前に立つだけで男女の別や年齢を顔から読み取るシステムも開発されている。すでに百貨店が数十店舗で導入し、時間帯によってどの年齢層が多いのかなどを調査しマーケティングに利用している。

   海外の現状はどうだろう。来年開催されるサッカーW杯のための治安対策に取り組んでいるブラジルでは、飲酒運転の取り締りの現場で顔認証技術が利用されている。偽造免許証があとを絶たず、この技術を使って身元確認が行われている。サッカースタジアムでも使われている。スタジアムを埋め尽くす観客を数十台のカメラが撮影して、レーザーなどを使ってプレーを妨害する悪質サポーターなど要注意人物の顔写真を登録し、次の試合に入場できなくさせるのだ。

プライバシー丸見え、人権侵害は大丈夫か…

   機械はどこまで個人の顔を識別できるのか。顔認証技術の研究をしている東京大の佐藤洋一教授は「正面から撮った条件の良いものはほぼ100%、メガネやサングラスでもかなり認証できます。顔が上下30度、左右40度といったほぼ正面の方向を向いているなら、認証をかけられます。ただ、防犯カメラで遠距離から斜めに撮ったものや解像度が低いものはまだ研究開発中といったところです」

   ただ、利用の仕方によってはプライバシー、人権侵害に繋がる怖れがある。監視社会とプライバシーについて研究している早稲田大の西原博史教授は、サッカースタジアムの監視に関連してこう指摘する。

「説明のプロセスが排除され、機械が自動的にやったのだから入場させませんと言われるのでは問題がありますよね。この人は誰か、何の目的で暴れるのか、それをどう評価するのかという人間の営みの部分を全部排除された形になってしまう」

   アメリカではこんな出来事があった。女性が自分の顔写真をスマートフォンに載せたところ、たった3秒後に女性の名前、誕生日、社会保障番号がインターネットに表示されたという。

   西原教授はこう警告する。「思いもかけないような使い方をされるのが一番の問題でしょう。各自が自覚し、むやみやたらと個人に関する情報を公開しないよう注意することです」

   至極当たり前のことなのだが、脇が甘くなっているのもネット社会…。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2013年5月29日放送「あなたの顔から個人情報が流出する~広がる顔認証技術~」)
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