消えた子どもを捜せ!居所不明の小中学生976人、幼児は実態不明―動き鈍い行政

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   居場所が分からない「居所不明」の小中学生の子どもが976人いるという。子どもはどこに消えてしまったのか。命を落とす事件もこのところ相次いでいる。今年4月(2013年)、横浜市磯子区の雑木林で6歳の女児が暴行を受け遺体となって発見され、5月には大阪市北区のマンションで衰弱死した3歳の幼女と母親の遺体が見つかった。

   こうした事件が多発しているのに、なぜ行政は子どもの安否を把握できないのか。法律上の壁があると担当者は言うが果たしてそうなのか。安否情報が少ないとはいえ、行政が積極的に探せば安否を確認できるケースも多いという。

横浜・雑木林「女児殺害・遺棄」転居で追跡・確認やめた松戸市

   消えた子どもたちは小中学生の976人だけではない。小学校に入る前の子どもたちについては統計がなく、実態すら分かっていない。貴重な情報が行政の手元にあっても、生かされないのが実情という。典型的なケースとして、4月の横浜の事件などは、その典型的なケースだ。

   逮捕された母親の山口行恵容疑者は、インターネットのコミュニティーサイトで知り合った男性たちの家を、数か月ごとに6歳の女児と3歳の幼女を連れて転々としていた。山口は「お金を持っていそうな男性を探していた」と供述しているという。

   千葉県松戸市、神奈川県秦野市、そして横浜市と移動し、この間、女児は小学校に通わせてもらえなかった。最初に異変に気付いたのは住民登録のあった松戸市だった。昨年春、小学校入学前の健康診断に女児が現れず、入学手続きもないまま入学式にも来なかった。松戸市は住民登録されている住所を繰り返し訪ねたが、表札は別人で、人が住んでいる気配はなかった。最後に訪ねた日の3日後、秦野市に住民登録が移っていることが判明して居場所確認をやめてしまった。その後の経緯から、この時点で女児はまだ生きていたことが分かっている。松戸市が一歩踏み込んで女児の情報を秦野市に伝えていれば、女児の命は救われていたかもしれない。

   秦野市でも女児は学校に行かせてもらえず、女児と妹が手をつないで歩いているところを近所の住民が声をかけている。「何歳って聞いたら、6歳で、下の子が3歳といい、『私、学校へ行くんだ』と言っていました。やっぱり学校に行くのを楽しみにしていたんでしょうね」

   その後、母子は住民登録を秦野市に残したまま横浜市のアパートに移り住む。ここでも近所の住民から女児の妹が虐待を受けているという通報があり、児童相談所の職員がアパートを訪問している。しかし、山口から「(女児が)横浜市内の学校に転向するため、夫と学用品を買いに行っている」とウソをつかれてしまう。その9日後に女児は殺害され、警察が本格的な捜査に乗り出したのはその9か月後のことだった。

子どもの命より個人情報保護法・条例優先

   このように、行政が持っている手掛かりを生かすことができず、子どもの命を救えなかったケースは実に多い。なぜ手掛かりは活かされないのか。育児放棄の防止に取り組んでいるNPO「子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク」の山田不二子理事長はこう説明する。

「1つは個人情報保護法とか、条例が子どもの命より重要視され、法や条例に行政が従うことを主にしていることがあります。もう一つは行政の担当者がやるべきことをやっていない。わからない、確認できないとなったら、各市町村に設置されている『要保護児童対策地域協議会』に通報すべきです。ここには児童福祉、母子保健、教育委員会、児童相談所が入っています。それでも分からなければ警察に連絡する。常に最悪の事態を想定して関わって行く意識が必要なのです」

   幼児虐待などの事件があると、行政は法律の壁を持ち出し踏み込んで介入できないと言い訳をする。しかし、6歳の女児のケースを見ても、松戸市が一歩踏み込んで情報を伝えていれば命を助けられたかもしれない。今の行政には一歩踏み込む努力が不足している。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2013年6月5日放送「子どもはどこへ消えた」)

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