<セレステ&ジェシー>
ラシダ・ジョーンズ怒れる女子の身勝手さと痛々しさ…共感!「悪いのは私。でも他人に言われたくない」

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(C)C & J Forever, LLC All rights reserved.
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   端から見れば、傲慢、我儘、八つ当たりのオンパレードだ。でも、その言い分を弁護したくなったのは私だけではないはずである。主人公・セレステは頭も良ければ気も強いバリバリのキャリアウーマンで、会社経営、メディア出演、著作執筆などを精力的にこなす。私生活では半年前に6年間の夫婦関係を解消した。

   でも、売れないイラストレーターの元夫・ジェシーは未だにセレステ宅のはなれに寝泊まりし、毎日連れ立って街に出ている。驚くことに、離婚の理由は「だって私の旦那にするには社会的地位が足りないんだもん」。すなわちセレステの超一方的な都合である。

不本意な毎日の裏返し…自分を保つために周囲を攻撃

   友人たちも2人の奇妙な関係にはお手上げで、別れた男を囲っておくなんて生殺しもいいところと呆れられても、セレステはへっちゃらだ。彼女の口癖は「これが正しいやり方なの」「そんなの正しくないわ」。自分のルールの中にあるものは全て正しく、その範疇を出たものには当り散らしたり、あからさまな敵意を抱いたりする。そんな自分の幼さに気づけないセレステは、「こうあるべき自分」のために周囲を消費しているように見える。

   そんな毎日に亀裂が入ったとき、彼女がどう動いたのか。元夫・ジェシーは自分から離れようとしているし、仕事でも大ポカをやらかした。せめて新しいステディをと思うけれど、現れるのは冴えない男、問題のある男ばかりだ。上から目線極まりない自分に、セレステは気付いちゃいない。私の考えが正しいのに、だれもわかってくれない。意固地になり、怒りのエネルギーだけをまき散らし、猛進する。ああもう、あなたの進む道が正しいと思っているのは、世界であなただけなんだってば!と忠告したくなる。

   けれど、人を小ばかにした言動も高圧的な物言いも、実はうまくいかない毎日の裏返しなのだ。私は悪くない!と声を大にして言わないと自分を保てないセレステの気持ちがわかる女子は、結構多いと思う。悲劇のヒロインになれたらいい。でも、原因は自分にあるのも薄々わかってはいる。その反動もあって、むしゃくしゃを埋めるのにひどく攻撃的になる。

「クソ女」「意味わかんねえ女」の失恋ストーリー

   映画のキャッチコピーは「女子共感度無限大」…そうだよね。これ、「クソ女」「意味わかんねぇ」って男性陣に吐き捨てられるタイプの女の子の失恋だよね。うぐぐ、何も言えない。ああ、「あんたが悪いけど、気持ちはわかる」とセレステに声をかけたい。いくら自分が悪くたって、きつい状況に自分由来と他人由来の区別なんかつけられるか。やけ食いして太ったり、他に行こうとして空回って余計に傷ついたり。ヘコむだけでは済まないところにリアルさが覗く。

   人生に「正しい道」なんかない。でも、自分なりの「正しく見える道」を押しつけずにはいられない日もある。怒れる女子の身勝手さと痛々しさを(素と疑ってしまうレベルで)好演したラシダ・ジョーンズが一気に好きになりました。と思ったら、これ脚本も彼女が手掛けているのね。やっぱり、演技じゃなくて素なのかも(笑)

(ばんぶぅ)

おススメ度☆☆☆

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