度肝抜かれた「Sleep No More」セットに入り込み俳優を追いかけて楽しむ観客参加演劇

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   ちょっと怖い。ちょっと気持ち悪い。おドロおドロしい感じでグロテスク。いったいどんなものなのか、どうしても見たくなってしまう。しゃべっちゃダメなんだよ、ギャーとか、コワ~イとか言わないでね。絶対あなた言うでしょ。え~、どうしようそんなに怖いんですか。あ~、どうしようドキドキしてきた。

   向かう車中からテンションが上がりっぱなしの一行。着いたのはニューヨーク・チェルシー地区だ。ここで数年前から行われている演劇が面白いと口コミで広まり、ロングランが続いているという。「Sleep No More」だ。

仮面渡され会話も禁止…突然のタイムスリップ

   いったいどんな芝居なのかを説明するのに、これほど難しいものも珍しい。強いて言えば、リアル脱出ゲームの演劇、いやコンテンポラリーダンス版。う~ん、これではますますわかりにくい。リアル脱出ゲームという意味は、密室で行われる観客参加型イベントだからだ。謎を解いていくわけではなく、俳優がどんどん場所を移動するので、観客はそれを追いかけ、また別の部屋で他の俳優による新たな展開が起こる。演劇かコンテンポラリーダンスか、シェイクスピアの「マクベス」がベースとなっているのだが、台詞はほとんどなし。狭い空間の中でアクロバティックなダンスで感情表現をしていく。これに頭をガンと殴られたような衝撃を受けた。いったいあれはなんだったのか。混乱と興奮で鼓動が激しくじっとりと汗をかいていた。

   もっとも興味をひかれたのはその演劇空間である。観客は入場前に荷物をすべてクロークに預けなくてはならない。ちょっとしたお金かクレジットカードはもっていたほうがいいですよとだけ告げられる。そして、本当に真っ暗闇の中、せまい廊下や階段を登らせられる。これが本当に暗い。足元にわずかな明かりもなく、転倒事故が起こりそうなほどだ。

   パっと明るい部屋に出たかと思えば、そこは1920年代のキャバレーで、タキシードを来たイケメンがジャズカルテットを従え歌い、カクテルドレスを着た美しい女性がシャンパンカクテルをすすめてくる。これを飲むためにお金が必要だったわけなのだ。もう1杯!と言いたくなる美味さだった。

   タイムスリップしたかのような空間とカクテルに酔っていると、真っ白な仮面が観客に渡される。鼻の先まですっぽり隠れるヴェネチアの仮面祭りのような仮面である。これを着けた後、観客は喋ることが禁じられる。エレベーターに乗せられ、十数人ごとに降りる階を仕分けられたら、そこはまたあらたな空間になっている。ホテル、古い町並み、墓場、寝室、病院など、精巧に作られたセットが出迎えてくれる。小道具にいたるまでセットは全て本物という。ビンテージの家具には引き出しに小物が入っており、カフェには本物の紅茶、チョコレートが置かれている。観客の中にはこっそり飲んでいる人もいた。

小道具はすべて本物!実際に香水を嗅いだりさわってみたり…

   この演劇の舞台設定はホテルで、数階にセットは分かれて、ホテル以外にも100を越える部屋を走り回る20人のキャストを観客は追いかけていく。セットのクオリティーがこれまた高い。ある女性の部屋で香水の瓶を嗅ぐと麗しいローズの香りがした。観客はどのセットでも内部に入り、実際に手に取って見ることができる。そのセットを見ているだけでもとても楽しい。

   そして、何より感慨深かったのが仮面が人種も年齢もなくすことだ。薄暗い中、言葉を発しない仮面だけがボゥっと浮かび上がり、その人がどんな人なのか全くわからない。これはとてもスゴイことではないだろうか。それからそれから…あ~言いたいことばかり。でも今回はこの辺で。

モジョっこ

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