レアでも焼き過ぎても危ない「霜降り加工肉」食中毒になるか発がんリスク覚悟するか…

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   『週刊文春』の危ない食品シリーズ、今回は焼肉チェーンで使われている「激安ニセモノ」焼肉に注意しろという特集である。週刊文春によれば、約40年前に牛肉の流通不足を補うために日本で開発されたのが「成型肉」だそうだ。当時牛肉は高級食材だったから、捨てるようなクズ肉や牛脂を使って庶民にも手が届くように加工したそうである。スーパーなどで売られているサイコロステーキなどは代表的な成型肉だそうだ。赤身肉と脂身が不自然に混ざり合い、ひと目で人工的に作られた肉だと気がつく。

   サイコロステーキのようなのを「結着肉」といい、ハラミなどの内臓や腹横筋や脂身、スネ肉や肩肉などの端肉をかき集め、食品結着剤を使って固めた上で食べやすいサイズにカットしたもので、食肉加工業界では「ミルフィーユ」と呼ばれているそうである。

   また、近年目覚ましい進化を遂げているのは「霜ふり加工肉」だという。剣山のような注射器針の機械で圧力をかけながら練乳や牛脂を肉に注入して作り上げるのだが、見た目には和牛霜降り肉との差がわからないレベルにまで達している。その市場規模は年間6000トンにもなり、牛肉以外にも馬肉や、豚肉などにも用いられているという。

   「やわらか加工肉」は肉の筋や繊維を細かく切断し、酵素添加剤を加えてやわらかくしたもので、ハラミなどによく用いられている。いわば柔軟剤で、その過程で化学調味料を染み込ませて肉に味付けする場合も多いそうである。

   しかし、こうした成型肉は食べ方に気をつけなくてはいけないようだ。2009年にステーキチェーン店「ペッパーランチ」で、成型肉の角切りステーキを食べた43人に腸管出血性大腸菌O-157の食中毒が発生した。角切りステーキの生焼けが原因とされている。成型肉は十分に加熱しなくては安全に食べられない。

「安楽亭」「七輪焼肉 安安」は成型肉不使用と回答

   だが、焼いて焦げた肉は危ないと消費者問題研究所の垣田達哉氏はこう警告する。「焦げた肉は発がんリスクがあるので、なるべく食べない方がいい。一方で、成型肉は焦げるほどしっかり焼かないと食中毒の心配もある。だから、こうした成型肉は避けたほうが安心なのです」

   たしかに肉の焦げは昔から体に悪いとされてきたが、近年、さまざまな調査報告が発表されてきている。2009年のアメリカミネソタ大学の報告によると、高温で焦げるほどに調理された肉を食べ続けると、すい臓がんになる恐れが60%高くなるという。また、南カリフォルニア大学公衆衛生学教室のアミット・ジョシー博士らの研究チームは、豚肉や牛肉などの赤身肉を週に1・5回以上、フライパンで焼いて食べている人は進行性前立腺がんの危険率が30%も上昇することを確認した。また、直火焼きなどで高温調理した赤身肉を週に2・5回以上食べると危険率はさらに40%まで上昇するという。

   順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座の白澤卓二教授もこう話す。「焦げた人工霜ふり肉なんてとんでもない。そもそも、脂だらけの肉は動脈硬化を引き起こす飽和脂肪酸が多分に含まれていますから」

   成型肉を使っているかというアンケートに答えてきたのは2店だけだった。「安楽亭」と「七輪焼肉 安安」。どちらも成型肉は使っていないという。他のチェーン店を調べた結果では、ほぼどこでも成型肉が認められたという。

   安い物には「理由」がある。かといって、懐と相談すれば、そうした物を食べざるを得ないのも現実である。そうしたリスクを頭に入れながら、ほどほどに食べるのがいいのではないだろうか。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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