2018年 6月 22日 (金)

「違法ハウス」閉鎖されたら行くとこないワーキングプア―生活保護より厳しい住宅弱者

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   「脱法ハウス」がこのごろ話題だが、「クローズアップ現代」は「違法ハウス」を取り上げた。「違法ハウス」は「脱法ハウス」と同じモノを指しているようである。ビルのワンフロアをベニヤ板などで仕切って、カプセルホテルやインターネットカフェに毛が生えたような個室にし、そこに何十人もが密集して生活のもろもろを行う。窓がなかったり、避難路がなかったり、狭すぎたりで、住居について定めた建築基準法や消防法、条例などに違反していて、当然、火災やトラブルの危険は高いだろう。

   ただし貸す側は、あくまで安価なレンタルオフィスや倉庫として貸しており、利用者がオフィスで連続的に泊まることは意図する使い方ではないなどと主張している。そうしたことから脱法的なハウスと見なされるが、そんなもんは業者のただの言い逃れであって、実情は完全に住居であることを重視すれば、「違法ハウス」ということになるんであろう。

自立目指しているのに住める場所がない!

   クロ現が取材したところでは、こうした違法ハウスは一種の貧困ビジネスで、ほかに住める場所がない、敷金礼金、保証人などが用意できない人が多く「入居」していたという。最近、違法(脱法)ハウス問題がメディアでクローズアップされ、施設閉鎖の動きも進んでいるが、入居者はほかに行くところがないから困ってしまう。どうしたらいいのか。

   スタジオゲストの岡部卓・首都大学東京教授は、違法ハウスが栄えるウラには、低所得な非正規雇用者の増大があり、「低所得層向けの(生活保護以外の)公的な住宅政策が極めて不十分」だと指摘する。地域、行政、企業が連携して、非正規雇用の人たちの住宅環境を早急に整備する必要があるとする。

   ひとたび生活保護となれば住宅面も一応ケアされるが、自立してワーキングだけどプアで、住むところを確保するのもアップアップという人たちは、そうした住宅セーフティネットから漏れてしまう。公的な住宅の数はまったく足りず、公営住宅は申し込み倍率が100倍、入居まで1年待ちなんてこともザラだそうである。

   もっとも、急速な少子高齢化で社会保障費削減が叫ばれ、その分野においては「公」の関与を減らそうとし、貧しく弱い立場の生活者にも厳しい目が向けられ、彼らに「自助」と「自己責任」を多く求める現状では、なかなか顧みられることもなさそうな提案ではある。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2013年7月16日放送「潜入『違法ハウス』~住宅弱者をどう支えるか~」)

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