どっちに納得?日本経済バラ色の「週刊現代」か、値上げ地獄で庶民半殺しの「週刊ポスト」か

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東京五輪決定で「株価倍返し」3万円突破なんて浮かれすぎ

   『週刊現代』の編集方針が私にはよく理解できない。アベノミクスを礼賛し、株が上がる上がると囃し立てたのに、暴落するとアベノミクスは終わった、もう株にはを出すなと特集した。だが、2020年の東京五輪が決定すると、今週は「日本経済『黄金の7年』が始まる」という特集を組んでいる。週刊誌に『節操』は求めないが、いくら何でもという気にはなる。

<一部のマーケット関係者の間では、人気ドラマ『半沢直樹』の名セリフをもじって『倍返し相場』が来ると語られる。五輪決定で沸き上がるマーケットが、昨年来のアベノミクス相場でつけた年初来高値1万5942円の『倍』、つまり3万円オーバーに向かって急上昇していくシナリオだ。
   武者リサーチの武者陵司代表がこう指摘する。
「日本の資産時価総額(土地+株式)は、1989年から2011年の間に1600兆円も失われました。22年間に亘って資産価値が下落を続ける現象は世界に例がなく、この過度な土地と株の価格下落を引き起こしたのは、過度の悲観論、諦観論=アニマルスピリットの喪失でした。
   東京五輪はこうした悲観、諦観を一掃し、正当な株価と地価の実現をもたらすでしょう。その経済効果は計り知れません。2020年の日本経済が1990年の高度成長のピークを越えていくとすれば、日経平均は過去最高の4万円が視野に入ってくるでしょう」>

   さらに、この7年の間には、アベノミクスでもいまだに達成できていない賃金の上昇がやってくるというのである。SMBC日興証券の渡辺浩志エコノミストがこう解説している。

<「五輪開催で、15万人の雇用創出が見込まれています。現在は約300万人の失業者がいて、失業率は3.8パーセント。15万人の雇用が創出されると、失業率は約0.25%改善される計算です。
   これは数値としては大きくはありませんが、失業率の下限が3.5パーセントと言われている点にポイントがあります。失業率が下限に近づくと、労働マーケットは人手不足の状態になり、おのずと賃金が上がっていく。来年、賃金は1%程度伸びると考えていいと思います」>

   それでもちょっぴり不安材料も書いてはいる。<夢の祭典が終わってしまえば、熱気も冷め、需要も落ち込み、「五輪ショック」が起きるのではと危惧する向きもあるだろう。実はその危険性は否定できない>

   だが、そんなことは付け足しに過ぎない。証券アナリストの植木靖男氏にこうまでいわせているのだ。<「2020年から日本ではバブルが始まる。そうなれば、日経平均株価が10万円を目指す上昇基調が、おそらく2024年ごろまで続くでしょう」>

   なんと今度は10万円だそうである。週刊現代は日本経済はこれからとてつもない変動迎え、その幕開けの瞬間にわれわれは立ち会っているのであると結んでいるが、とても素面では読めない。

年収500万円世帯は70万円負担増!秋から食品インフレ、公共料金、医療費、教育費アップ

   対照的に『週刊ポスト』は今年の秋に値上げ地獄がやってくると書いているが、こちらのほうが実感がある。パン、牛乳、ハム・ソーセージからチーズ、冷凍食品など主要食品が10~11月に軒並み値上がりする。日本酒やワインも大手メーカーが横並びで1000品目以上の値上げ方針を持ち出し、ごま油などは今年2度目の値上げをするという。食品インフレだけではない。

<国民生活を背後から脅かすのが公共料金、年金・医療、教育費などの負担増だろう。
   厚生年金保険料は9月から年間約9千円引き上げられ、年金受給額は今後3年間で「6万8700円」減らされる。高齢者(70~74歳)の医療費窓口負担は来年4月から2倍になる>

   経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう指摘する。<「庶民の家計は食料品だけで食費が1割近くアップ、電気・ガス・水道の光熱費も1割アップ、その他にも教育費が上がり、マイカーを持っている世帯は自賠責保険も上がります。政府の試算にはこれらが含まれていません。

   それを合わせると消費増税後に年収300万円世帯は年間40万~60万円、500万円世帯なら年間60万~70万円という、年収の2割近くに相当する負担増を迫られることになるはずです。住宅ローンなどが払えなくなる世帯が増えることも考えられます」>

   週刊ポストのほうはこう結んでいる。<厚生労働省の毎月勤労統計によると、全産業平均の今年7月のボーナスは前年比でわずか2108円増えただけだった。しかも、定期給与は740円下がっているから、差し引きで手取り増は1368円にしかならない。それなのに物価上昇と増税などで2割近くも新たな負担が増えれば、よほど余裕のあるサラリーマンでない限り家計がパンクしてしまうのは火を見るより明らかだろう。「値上げ天国」は間違いないなく、庶民に地獄をもたらす>

   読者諸兄はどちらの見通しを正しいと思うだろうか。

福島原発深刻!いまや土中に原子炉がある状態…地下水汚染もこれが原因か

   週刊現代はその一方で、日本経済にも20年の五輪にも大きな影響を与える原発汚染水問題は深刻だと伝えている。安倍首相は五輪のプレゼンテーションでも福島第一原発の視察でも「汚染水は湾内でブロックされている」と主張しているが、原子力研究者のマイケル・シュナイダー氏はこうした考えを一蹴している。

<「福島原発に隣接する湾内にある海水の半分が、毎日外洋に流出しています。これは日本の海洋学者も、東電も認めている事実。つまり、事故発生後から今まで、いったいどれだけ放射性物質が太平洋に流出したか、見当がつかないのです>

   政府はタンクを密閉性の高い溶接式に切り替え、故障している除染装置を再稼働させようとしているが、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏はその効果を疑問視している。<「地上タンクから漏れたとされる300トンの汚染水には、1リットル当たり8000万ベクレルのベータ線放出核種があると発表されました。その正体を私はストロンチウム90だとみています。

   このストロンチウム90を、規制値以下の濃度にするには30ベクレル、つまり、約300万分の1にしなくてはならない。それを汚染の激しい現場で達成することはとても難しいと思います」>

   さらに欧州放射線リスク委員会のクリス・バズビー博士は恐ろしいシナリオを週刊現代に示したという。<「タンクの周囲から17万ベクレルという超高濃度汚染水が検出されていますが、これは明らかにおかしい。タンク内の汚染水の濃度が急に上昇するはずがないからです。推測するに事故後の水素爆発で飛び散った燃料棒の1部が土中にあり、地下水を汚染してるのではないでしょうか。これは、言ってみれば土中に原子炉があるような状態です」>

   週刊現代は<事故から2年半がたったが、福島原発事故は収束するどころか、汚染水まみれになり、事態は悪化の一途を辿っている。しかも、このような状態を廃炉まで何十年も続けていかなければいけないのだ>と書いているが、このままいけば五輪開催にも影響するはずである。とても五輪景気などに浮かれている場合ではない。

   さらに京都大学原子炉実験所の今中哲二助教がいうように、<「耐震補強だといって支柱を入れたりしていますが、そもそも建屋自体がひどく損傷してるので根本的な対策は難しい。4号機のプールには大量の使用済み核燃料が入っているので、地震によってプールが崩壊したり、水がなくなったりしたら大変な事態になる」>のである。

「オリンピックの夢の跡」借金と失業だけが増えた開催国

   『ニューズウィーク日本版』はロンドンオリンピックを例にとりながら、バラ色の経済効果は期待すべきではないと書いている。<オリンピックを招致すると決めた時から、ロンドン大会の関係者は開催国がたどる運命を知っていた。大会後に残るのは、大幅な支出超過と空っぽの設備と観光客の微々たる増加。しかしそれまでの開催国と同じように、彼らも「今回は違う」と約束した。

   昨年夏の3週間。ロンドンはほぼ完璧なホスト役として世界の話題を独占した。しかし1年後の今、具体的にどのような効果が表れているというのか。

   失業率は依然として高く、店は閉じられたまま。影の内閣でロンドン相を務める労働党のサディク・カーンは、問題は大会直後から表面化したと語る。「政府とロンドン市長は、素晴らしい大会にふさわしいオリンピックの遺産を築けなかった」>

   他の開催地も同じようだという。<財政計画の無能ぶりにかけて76年のモントリオール大会の右に出る例はない。サイード・ビジネススクールの分析によると予算を796%も超過し、モントリオール市がようやく借金を払い終えたのは06年のことだ。

   04年のアテネ大会も似たようなものだ。開催につぎ込んだ120億ドルは、ギリシャ全体のGDPの約5%に相当。ギリシャ経済の崩壊に貢献し、オリンピック・パークは今や雑草と落書きに埋もれている>

   こういう例が枚挙に暇がないのに、安倍首相は五輪景気を当て込んで消費税を上げようとしている。増税分は当初、社会保障に全額使うといっていたではないか。それがいつの間にか成長戦略並びに事前防災に使うとねじ曲げられ、3%値上げ分の2%にあたる5兆円を支出しようとしているというのだから、何のための増税なのだろうか。首を傾げざるを得ない。

大橋巨泉「何がキズナだ!世界幸福度ランキングを見てみろ。日本は43位」

   大橋巨泉氏が週刊現代の連載「今週の遺言」でこう書いている。<何が「キズナ」だ! 今週国連から発表になった『世界幸福度ランキング』を見たか。1位はデンマーク、以下ノルウェー、スイス、オランダ、スウェーデン、カナダ(去年よりひとつ下がったが、それでも6位!)と続く。

   世界一の経済大国アメリカは17位、わが日本は43位、わが国を抜いて第二の経済大国にのし上がった中国は何と93位である。これは明確に何が幸せなのかを示している。いくら大きな経済力や軍事力をもっていても、一人一人の国民は幸福ではない。

   すぐに相談できる人が居るか、とか、身分や性、年齢などによって差別されていないか、お金がなくても医療を受けられるかなど、そういうことがつみ重なってランキングは決まる>

   この国は若者にも年寄りにも冷たい国になってしまった。経済成長ばかりを考えてきたからである。その過ちを安倍政権は繰り返そうというのである。そう遠くないうちに国民は「こんな国いらない」と呟くようになるであろう。

みのもんたで呉智英「親の責任論」息子は社会人、親に責任ない!毅然と言い切れ

   みのもんたの息子が逮捕されたことで、いつも通り「親の責任論」が喧しい。週刊現代がそれについて特集を組んでいるが、なかでは評論家の呉智英氏のが一番面白かったので紹介しておこう。

<「日本では家族主義、親族主義が強いため、「食卓のない家」(円地文子作=筆者注)で描かれたような議論は昔からありました。今回のみの氏とその息子の一件に関して言えば、みの氏が成人した子供の責任を負う必要はないと考えるなら、徹底して突っ張るべきだと思います。報道番組だろうと、バラエティ番組だろうと出演自粛などしなければいいのです。
   みの氏が、「社会人として息子を罰すべきは、きちんと罰してください。私を罰すると言われても、私には責任がない」と断言したら、インパクトはあるでしょうね。それがプラスになるか、マイナスになるか。私は信念を持って毅然と言い切れば、最終的にはみの氏にとってもプラスになると考えます>

中央大学「裏口入学」めぐって総長辞任の泥仕合!30億円の補助金打ち切りか

   同じ週刊現代で法科の名門・中央大学が裏口入試の件で大揺れだと報じている。告発するのは山下一明氏。彼は中央大学のOBであり、現在は大学の評議員でOB組織「学員会」の常任幹事を務めている。

<「わが母校中央大学は、いま混乱の真っただ中にあります。不正入試事件で「裏口入学」の口利きをした前理事長が、学内の要職に居座り続け、再び権力を振るおうと画策している」>

   昨年発覚した附属校である横浜山手中学の不正入試事件をめぐって、前理事長・久野修慈氏が動かした巨額のカネを巡って、学内の混乱が明るみに出ようとしているそうだ。久野氏は親しい知人から孫が横浜山手中学を受験させるので入れてほしいと頼まれ、便宜を図ったというのである。

   この受験生、1度は合格になり入学金の払い込みも済ましたが、入学式まであと1か月となった3月8日、合格が取り消し処分となったのだ。有力OBがこう話す。<「横浜山手中学の副理事長から、不正入試のことが当時の中大総長・福原紀彦氏に伝わったといわれています。これで福原氏が事件の追及に乗り出した」>

   しかし、事件の全容解明のために大学が設置を決めた第三者委員会による調査は、いささか奇妙な展開を見せたという。調査報告書には、久野氏ではなく、福原総長に厳しい言葉が並んだ。さらに福原氏が事件の処断に動いたことについて、総長は本件不正入試情報を入手してから、この情報を自己のグループで独占し、大学全体の問題として取り扱っておらず、職務権限がないのに本件合格の取り消しを事実上示し、実行させたもので、軽率のそしりを免れないというのである。

   結局、第三者委員会による報告を受け、福原氏は総長辞任にまで追い込まれてしまう。この内紛が明るみに出て、文科省が「内紛」と見なせば、年間約30億円の補助金が打ち切られるそうでだが、象牙の塔のゴタゴタはどこまで行っても藪の中のようである。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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