宮部ドラマやっぱりこうでなくちゃ…目の前の惨事を「映像投稿」薄気味悪い風潮に抑えられぬ怒り
<宮部みゆきドラマスペシャル 淋しい狩人>(フジテレビ系)

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   いかにも宮部作品らしい目の付け所である。推理ドラマの筋書きを説明しても仕方がないので、何故宮部らしいかを書くと、最近の日本の風潮がテーマになっている。何か事件か事故が起こった現場にたまたま居合わせた人々が、被害者を助けようとするでなく、黙って傍観者でいるだけならまだしも、携帯のカメラでパシャパシャと写したり、子供が報道のカメラに向かって指を立てて薄ら笑いを浮かべたりする、人間としてあるまじき姿を怒っているのだ。
   連続殺人事件が起こり、古書店店主の岩永幸吉(北大路欣也)が人間の心理を読んで解決する話である。終りに近く、幸吉がバスジャックした大学生の犯人を説得するシーンに作者が言いたいことがちりばめられている。この犯人は心根が純粋な大学生で、それまでの様々な場面で、冷たい傍観者たちを目撃して許せないと考えていた。その復讐で自らも人を殺してゆく、いかにも現代的な内容だ。
   宮部作品のテレビドラマ化は玉石混交で、作家が描いた世界が視覚的には表し難い場合もあり(例えば先頃終った出来損ないの「名もなき毒」など)、反対に映像化が適した内容のもある。当作品は後者の方である。古書店店主が主人公だと地味で動きが少ないように見えるが、北大路欣也の「まだまだ若い者には負けない」親父ぶりと、自身が息子を亡くした寂しさの同居する屈折した役柄を、品よく演じた。スペシャルに相当する出来栄えである。(放送2013年9月20日21時~)

(黄蘭)

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