ロボットが人間殺す「戦争自動化」命令なしでもプログラム通りに攻撃!兵士も民間人も識別なし

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   情報処理技術の発達でいまや無人兵器は当たり前のものになった。最先端の無人機はパキスタン、イエメンで実戦に使われている。操作しているのははるか1万キロも離れた米国内の基地だ。モニター画面で怪しいものにミサイルを発射する。音もしない。爆風もない。兵士が危険にさらされることもない。

   2006年から5年間、アフガニスタンなどの無人機攻撃に携わった空軍兵士はいう。「奇妙な生活でした。12時間戦場にいて、そのあと町でハンバーガーを食べ、恋人に会い、パーティーに行ったりするんですから」

   しかし、忘れられない光景があった。ある日、3人の標的が建物に入るのを見極めてミサイルを発射した。その直後、小さな人影が建物に走り込んだ。「男の子か女の子か。上官はイヌだといった。胸がむかむかした。イヌだなんて」

   除隊したとき、上官は5年間で殺した人数は1600人を超えたと告げた。「無人機の操縦者には爆発音も聞こえず、興奮もない。繰り返すうちに無感覚になっていた」

道路沿いの畑仕事を「テロリストの爆弾仕掛け」無人機が農婦殺害

   国連の調査では、パキスタンでは04年以降、少なくとも400人以上の民間人が犠牲になった。誤爆や巻き添えだ。パキスタン北部の小学校教師は去年10月(2012年)、自宅近くの畑で無人機の攻撃で母親を亡くした。野菜の収穫中だった。一緒にいた息子や娘も大けがをした。

   なぜ誤爆が起るのか。京都産業大学の岩本誠吾教授はこう説明する。テロリスト攻撃はテロリストを特定するわけではなく行動から割り出す。道路に穴を掘っていたら爆弾を仕掛けているなと。たとえ水道工事でもだ。だから道路沿いの畑仕事は危ない。ただの集まりをテロリストのキャンプや集会と見間違う。

   無人機攻撃の是非を問う声は高い。抗議行動やデモも盛んだ。オバマ大統領も5月(2013年)、「使用の厳格化」をいわざるを得ない事態になった。

   兵器開発の最先端は人間が制御しない自律的な兵器、ロボットの段階に入っている。最新の自律型無人機X-47Bは遠隔操作ではなく、コンピューターが自動制御している。この7月、X-47Bは初めて空母への着艦に成功した。人間を上回る完璧な着艦だった。将来的には複数の機が情報を交換し連携して偵察や攻撃を行えるようになるという。

   戦場で使われるロボットにはさまざまなものがある。運搬用のウマ型ロボットは兵士の後についてどんな悪路でも歩いていく。ハチドリ型偵察ロボットは見た目もハチドリそっくりで、建物の中の撮影まで可能だ。敵のアジトに侵入する昆虫型ロボットもある。

SF世界が現実化…人間の生死を自動制御ロボットが決定

   戦争のあり方も変わる。専門家は「人の役割は戦場から離れたものになる。戦闘中の決定ではなく、あらかじめプログラムされた命令が戦争を左右することになる」という。

   イスラエルではすでに、国境線のパトロールには無人車両が使われていた。今後さらに高度な人工知能を搭載して、ルートの選択も走行も自律化して、隠 れている人間に「出てこい」と命令までする。むろん攻撃も可能だ。開発者は「依頼主次第」という。

   国連の専門家は5月、人間の判断なしに攻撃を行うロボットの開発は凍結すべきだとの提言を出した。人権団体は殺人ロボット禁止の条約締結を呼びかける。「独裁者が手に入れたらどうなるか。兵器ができ上がる前に一線を引かないと」という。

   岩本教授は「技術は民生も同じだから止められません。まだ完全自律型はできていないいま、国際法上どうなのかなどあらゆる検討をする必要があります。最大の問題はロボットが人間の生死を決めていいのかどうかだ」という。

   戦場ロボットの行きつく先は人間との闘いになるのか、ロボット対ロボットか。ただ、どんなレーダーもコンピューターも1発の弾丸にはかなわない。忘れたのか、ベトナム戦争でなぜアメリカが負けたのかを。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2013年9月26日放送「ロボット兵器が戦争を変える」)

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