山崎豊子もっと日本を描き続けてほしかった!視野広い作品群…ドラマ化で出色な上川隆也「大地の子」
<ドラマ化、映画化された故・山崎豊子の作品群について>(各局)

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   小説は取り敢えず置いておいて、筆者が山崎豊子の映像作品の中で最も優れていたと思うのはNHKが制作した「大地の子」である。他に第1回ドラマ化の「白い巨塔」(フジテレビ系)と「華麗なる一族」(TBS系)がこれに続く。「大地の子」は中国残留孤児問題を描いた言わば地味な内容であったが、主演した上川隆也の鮮烈なデビューと完璧な中国語に唸らされた。また中国人俳優の名演もあった。
   最初の「白い巨塔」は、何といっても自殺した田宮二郎の財前五郎ぶり、財前が憑依したような傲慢にしてダンディな外科医を颯爽と演じた姿が忘れられない。まして、強烈な自殺で世間をあっと言わせた彼は、何が原因だったか知る由もないが、その人生の終り方をもってテレビ界に名を遺した。これに比べると、唐沢寿明が主演したリメイク版は、唐沢の線の細さで財前らしくなく、物足りなかった。訃報の後で、唐沢が、山崎氏に会った時に「あなた、いい度胸してるわね」と言われたのは、山崎氏の懸念の表れだったか。
   1924年生まれの山崎豊子は第2次世界大戦を引き起こした旧日本軍の所業を大人になって体験した世代の最後ぐらいの年齢だ。次第にボケたり亡くなったりするこの世代の中で、視野の広い骨格のがっちりした作品で日本をもっと長く描き続けてもらいたかった。作品は多く映像化されたが、決してドラマ化を狙った書き方はしていなかったし、書きたいものを書いたのが秀作に繋がったと思う。(放送2013年9月30日、10月1日)

(黄蘭)

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