もうドライバーはいらない!ここまできた全自動運転システム―2020年に実用化

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   カメラが子どもの急な飛び出しや交差点の赤信号を認識し自動停止する。そんな運転支援システムの開発が急速に進んでいる。さらに、高度な人工知能を使い、ハンドルやブレーキ操作をしなくても車が目的地まで運んでくれる自動運転車の試験走行がアメリカの公道で行われている。

   カギを握る人工知能でリードしているのが自動車メーカーとは畑違いの米IT企業のグーグルだ。巻き返しを狙って、トヨタをはじめ各国の主要自動車メーカーが熾烈な開発競争を展開中だ。

運転の判断ミスや誤操作感知してクルマが自分で修正

   ITS(高度道路交通システム)世界会議が今月14日(2013年10月)に都内で開かれた。日本での開催は9年ぶりというこの会議で、日本や欧米の自動車メーカーから最先端の技術が発表された。最も注目されたのは、ドライバーの誤判断や操作ミスによる事故を防止する運転支援システムの開発状況だった。トヨタはブレーキとハンドルを自動で操作し急な飛び出しを回避するシステム、ホンダはパネルを操作して駐車場の空きスペースに自動で車を入れるシステムをそれぞれ公開した。

   ドライバーの操作ミスなどによる事故を防止する運転支援システムは、すでに自動車に搭載され身近になっているものもある。ダイハツ工業が昨年12月に市場に投入した車は、赤外線を使って衝突を回避する装置だ。前の車との距離を認識し、追突しそうになると自動的に止まる。費用は5万円。車を購入する人の8割は取り付けているという。

   日産自動車はさらに高度な運転支援システムの開発を進め今年8月、試作車を公開した。交差点で赤信号を認識し、ドライバーが見落としていても自動停止する。走行中に急な飛び出しがあると、対向車を確認しながら回避し、その後はすばやく元の車線に戻る。2020年までにこの高度運転支援システムを搭載した車を発売する計画という。

   国土交通省は自動車メーカーと共同で、渋滞防止を狙ったシステムの試験走行を行なっている。渋滞は上り坂などでスピードが落ちると、それが後続車に連鎖して起きる。車同士を通信で結び、自動的に加速と減速のタイミングを調整しながら前の車との距離を一定に保てれば、渋滞を防ぐことができる。

自動車メーカーのライバルは「グーグル」人工知能開発で先行

   国谷裕子キャスター「メーカーが運転支援機能の充実に開発の重きを置くようになったのはなぜなのでしょうか」

   運転支援システムの現状に詳しい電気通信大学の新誠一教授はこう説明する。「一つは軽自動車が4割以上を占めるようになっており、車を楽しむというよりも、必要性から運転されている方が多数いることがあります。家電と同じよういなものになっているわけです。もう一つは高齢化で、負担の少ない自動運転や安全装置に関心が高まってきたのだと思います」

   国谷「こうした技術はどのくらい近くまで来ているのでしょうか」

   新教授「技術的には完成できていると思います。これに伴う社会的コンセンサス、法的整備が必要ですが、2014年にはかなり安全な車が出てくる。2020年には限られた環境、高速レーンなどで自動走行できる車が登場すると予想しています」

   米カリフォルニアの郊外でトヨタのハイブリット車「プリウス」の運転席に乗っているのは目の不自由な男性だった。行き先を言葉で告げると走り出し、左折で横断歩道に人が歩いていれば一時停止する。すべて自動運転で目的地まで運んでくれる。開発したのは世界的IT企業のグーグルだ。4年以内の実用化を目指し、昨年3月から公道での試験走行を始めて、すでに50万キロに達している。

   それを可能にしたのが人工知能である。行き先を指示されると、詳細な地図データと現在地を照らし合わせながら最適なルートを選び目的地に向う。搭載したカメラやセンサーから得た情報をもとに、人と同じように人工知能が最適な操作を選択する。

   人工知能で先頭を走るグーグルに追い付け追い抜けとばかり、世界の主要自動車メーカーはアメリカ・シリコンバレーに拠点を設け、人工知能の開発に力を入れている。トヨタもその1社で、東京農工大と共同で東京の複雑な市街地での自動走行に対応した人工知能の開発に取り組んでいる。ただ、新教授は「日本は特殊な道路事情もあり、公道で試験走行ができるよう特区を作って整備する必要があります」という。

   道路の上を走る自動車は最先端でも、日本は幹線道路から一歩わき道に入ると複雑な道路事情が待っている。さて、夢の車がこの大都会・東京を疾走する日は来るのか―。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2013年10月23日放送「ここまできた自動運転 社会はどう変わるのか」)

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