2024年 4月 23日 (火)

カフェで見かけた奇妙な彼女…もらった名刺並べて電話で恋愛占い、業務連絡、たばこプカプカ

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   街中に狂騒の魔女やドラキュラが溢れた夜も終わり、季節はいよいよ絶望的な気分になる頃だ。えっ、なにが絶望かというと、残り2枚となったカレンダーを見て月日の速さに愕然とするのだ。そろそろ2013年も終わるんだなと初めて実感する。

   いったい自分は何をしてきたのか。日常に追われ、気がつけば週末、月末が来て、いつのまにか年末がやってくる。こうして積み重なる覚えてもいない毎日。その前に今年も無事にここまで元気に過ごせてきたことを感謝しないといけないけれど。

   だから、そろそろこの1年を少しずつ振り返ってみるのもいいのかな。覚えてもいないけれど、たしかに自分が歩んできた月日。何があったのか、今年1年で誰に出逢ったのか、そこでどんなことをし、どんな対応をとってきたのか。ふう~っとゆっくりと呼吸をしながら思いめぐらせてみる。

   きっと人生もそうなのだ。人は何年生きることができるのかそれぞれの時間が決められているという。生まれた時から死に向かって毎日を過ごす。そんな毎日は不安や幸福の繰り返し。でも人は幸せの時は当たり前と感じ、不幸の時は忘れることもできず、より苦しみは大きくなるし迷いもふえる。

「先生、この人どう思います? いいなと思っていたのに見え透いた嘘つくんです」

   急いで資料を作らなくちゃ!、あと1時間で会議が始まってしまう。カフェの喫煙スペースで慌てて仕事をしていた時、ふと気がつくと、目の前に座っていた女性が数枚の名刺をテーブルに出して眺めている。営業中にちょっと一息、名刺を並べることでどんな人だったかを整理でもしているんだろうな、お疲れ様です。

   しばらくすると、女性はケータイで話だした。カフェやコーヒーチェーン店の狭い喫煙スペースでも仕事の電話をしている人は多い。音楽もかかり、周りが騒がしいことも多いのに、平気で業務連絡をしている人がいる。これ、たいてい女性60代ぐらいの男性が多い。どちらも遠慮がなく、けっこう長時間話こんでいたりする。

   目の前の女性も当然のように電話で話しだした。気にしなかったけれど、「あれ、なんだかおかしいぞ」と聞き耳を立ててしまったのは、彼女が名刺を触りだしてからだ。「先生、この人どう思います? 名刺にいい匂いを付けていて、いいなと思って連絡したんです。ムスクの香りですかってメールしたら、名刺に匂いなんてつけてませんって。でも、たしかに今も香ってるんですよ。どうしてそんな見え透いた嘘をその人はつくと思いますか。私、この人のこといいなと思っていたのにですよ」

日常に追われ、気が付けば今年ももうカレンダー2枚

   おいおい、電話占いをこんな場所で始めないでよ。注意したいけれど、電話占いをしたこともないし、友達に経験者もいないので再び聞き耳。それにしても、ずいぶんと女性は感情的になっている。「先生、私もう43なんです。このままだともう出逢いがないような気がして。職場とかどんな出逢いであろうと、恋愛に持ち込みたいんです。私、結婚できるんでしょうか」

   あっ、それ私も知りたい。電話の向こうで占い師先生は何と言っているのか女性の反応を見る。「あー、なるほど。でも、まだわたし恋愛できるし、結婚もできるってことなんですね。ありがとうございます」

   よかったね。彼女、電話で諭されて少し落ち着いたようだ。すると、矢継ぎ早に仕事の相談をし始めた。いったい彼女は自分の人生をどう振りかえり、どうこれから築いていこうとしているのか。こんなカフェの喧騒で、タバコふかしながら相談するようなことでもないと思うんだけれど。きっと彼女にしか見えない自分の人生があって、本人には見えていない彼女の人生もあるんだろう。人のふり見てわがふり直せ。あと2か月、2013年が刻々と終わりの時を迎えるまでに、ふと人生を考えた。

モジョっこ

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