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逗子ストーカー殺人「被害者住所」市職員が漏らした?だれでも閲覧可能状態

   昨年11月(2012年)、神奈川県逗子市で起きたストーカー殺人事件で、被害者の女性の住所情報を逗子市役所が漏らしていた疑いが出てきた。事件発生の前日、納税課の職員が被害者の住所を閲覧した形跡があったが、職員9人は全員「記憶にない」といっているという。

ストーカーから依頼受けた探偵が難癖つけ聞き出し

   事件は三好梨絵さん(当時33)がストーカー行為を繰り返していた元交際相手に自宅で殺害され、男も自殺したというものだった。三好さんは結婚で姓も住所も変わり、市役所に住所の閲覧制限をするなど対策を講じていたにもかかわらず、犯人がなぜ詳しい住所を知ることができたのかがわかっていなかった。

   カギを握る人物として6日(2013年11月)に2人の探偵、小浜博敏(59)と菊島毅(42)が逮捕された。容疑は今年6月に京葉ガス(千葉)に契約者を装い氏名を聞き出した「不正競争防止法違反」だが、同様の手口で逗子市役所からも三好さんの住所を聞き出した疑いがある。

   逗子市役所は「三好さんの情報にアクセスしたログ(記録)があったが、関係者に聴取したが、外部流出の確認はできなかった」(小田鈴子副市長)という。納税課長も「不可能というか、考えられない。電話では本人の確認が困難なので、個人情報とかは伝えないのが大原則だ」と説明する。しかし、情報端末は終日ログイン状態でだれでもアクセスできた。アクセスは事件前日の11月5日の11時から3分間だが、記録も残っていなかった。

   逮捕された2人の探偵のいずれかが逗子市役所に電話して住所を聞き出し、それがストーカーに伝わって殺害に至っ た可能性が高い。菊島のホームページには「あなたの会いたい人探し」。「氏名と大まかな市町村名」からの割り出し料金は5万5000円となっていた。

   この事件では、元交際相手を脅迫容疑でいったん逮捕した際に、警察官が結婚後の名字と引っ越し先住所の一部を読み上げていた。法律通りの手続きなのだが、事件の性格からいえば不用意で、犯人がこれを手がかりに探偵を雇ったとみられる。

閲覧制限かかっていたのに…職員たちは「記憶にない」

   三好さんから相談を受けていたNPO法人の小早川明子理事長は住民票の閲覧制限をアドバイスしたが、「閲覧制限は命の危険があるとか逃げなくてはいけない人が警察のお墨付きでかけるものだから、その住所を調べ出したら厳しい罰を与えないといけない」という。ある弁護士は「厳しい法律も必要だが、住所を教えられちゃったらどうしようもない」と話す。

   吉川美代子(TBS解説委員)「閲覧制限がかかっていたら、見た職員は覚えてるはず。でも教えちゃった。誰かがウソをいっているということですよね」

   パトリック・ハーラン(パックンマックン)は「聞かれた瞬間から警報音が鳴るくらいの緊張感をもってもらいたいですよね。国家の情報は守られているのに、個人情報が守られない。国家の根本がくつがえされた」といささか脱線気味だが、言いたいことは分かる。

   元はといえばストーカーそのものに警察も無神経だった。しかし、この事件と今年10月に東京・三鷹で起きた女子高生殺害などで、ようやく変わってきた。神奈川県警はこれで未然に防いでもいる。もっと早ければとつくづく思う。