2024年 4月 18日 (木)

カネがらみの電話勧誘すべて危ない!オレオレ上回る投資詐欺…被害平均1000万円

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   高齢者を狙った巧妙な投資勧誘詐欺の被害が急増している。詐欺師グループが複数の大手証券会社社員や金融庁職員になりすましてあの手この手で信用させ、老後の暮らしにとコツコツ貯めた虎の子を騙し取っていく。挙句に、詐欺にあって意気消沈している被害者に付け込み、弁護士を名乗る一味が被害を救済すると持ちかけさらに騙し取る悪質な詐欺も増えている。

   被害総額(2012年)は3年前に比べ18倍の186億円とオレオレ詐欺(112億円)を上回った。詐欺師に騙されないようにするにはどうすればいいか。人を見たらドロボーと思えは昔からの教訓だが、今はお金の絡んだ電話は詐欺と思えだ。今も昔も、待っていてうまい話が飛び込んでくることは間違ってもない。

過去の損失取り戻せると1900万円詐取!落ち込んでいると弁護士名乗る追い討ち詐欺

   投資勧誘型の詐欺は被害額が大きい。警察庁の調べでは被害額(2012年)の1件当たり平均は993万円で、オレオレ詐欺の343万円に比べ3倍近い。被害者は70代が7割、60代を合わせると9割に達する。

   どんな手口なのか。今年7月(2013年)、都内に住む70代の女性が2000万円騙し取られた。始まりは自宅に送られてきた投資のパンフレットだった。女性が住む地域だけの500人限定を謳い、急成長した太陽光発電会社への投資を誘う内容だった。女性は関心がなかったが、大手証券会社を名乗る男の電話で心が動く。「パンフレットの会社が上場したあかつきには、株価は5倍になると予想しております」と将来性を強調しながらこう持ちかけた。

「自分たちの代わりにこの会社の社債を購入してくれないでしょうか。実は顧客の投資家がとても欲しがっておりまして、1.5倍で引き取らせていただこうと思っております」

   ここがもう詐欺の手口なのだが、気づかないでいると「代理購入だからリスクはない」という。そこへ別の大手証券会社社員を名乗る男から電話があった。同じ投資物件を今度は「成長間違いない会社なので、購入されたら1.7倍の値段で買い取ります」と話す。

   結局、女性は2000万円分の社債購入を申し込み、自宅に来た経理担当と称する男に現金を渡すと社債が送られてきた。しかし、それっきり関係者とは連絡が取れなくなり、騙されたことが分かったが後の祭りだった。

   最近はさらに悪質化、巧妙化が目立っている。かつての投資の損を取り戻せると持ちかける手口だ。認知症の妻と2人暮らしの男性は昨年9月(2012年)、をまるで見透かしたような巧妙さで1900万円を騙し取られた。詐欺は「倒産したリゾート会社の会員権200万円。これが公的機関から返金させることをご存知ですか」という電話で始まった。男性には20年前に200万円で購入した会員権が倒産で紙クズになった苦い経験があり、さっそく申し込んだ。

   ところが、申し込みが殺到しすでに受付けは終了してしまったという。男性がガッカリしていると、「お金を取り戻す方法が別にある」と持ちかけてきた。「うちのクライアントが別の会社の会員権を倍額で買い取ると言っています。200万円で購入すれば400万円。損を取り戻せますよ」という。妻を施設に入れてやることができると考えた男性は、勧められるまま1600万円を送金した。会員権と引き換えに現金を受け取る約束をしたが、男が待ち合わせ場所に来ることはなかった。

   しかし、詐欺はこれで終わりではなかった。放心状態の男性のところへ今度は弁護士を名乗る男から救いの手を差し伸べるという電話がかかってきた。ワラをもつかむ思いで弁護士料300万円を払い込んだが、この男も最初の詐欺師の仲間で合わせて1900万円を騙し取られた。

素人には「いい投資、悪い投資」判断できない!カネがらみの電話はすぐ切れ

   警察が押収した詐欺グループの名簿を見ると、綿密に準備している実態が見える。入手した健康食品の購入者リストを元に名簿を作り、まず下準備として電話に出た相手の反応を記録し、傾向と対策をグループの仲間たちが共有していた。

「電話を繰り返し受けるうちに虎の子を絡め取られていく。どういう心理なのでしょうか」

   内多勝康キャスターが投資詐欺など金融商品トラブルを手がける荒井哲朗弁護士に聞く。

「権威付けのために実在の大手証券会社を名乗り、地域限定だと電話を掛けてきます。より手の込んだのは、準大手の証券会社を名乗り『やはりそういう話ですか、それならうちは手を引きます。いい話ですよ』と言い残したりします。
   追い討ちをかけるように、金融庁や国民生活センターの職員を名乗って『詐欺が増えています。何か困ったことありますか』とやる。こういう話がありますと注意を促すふりをして、『実はこういう仕事についてなければ本官も買おうと思っていました。いい話ですね』なんて話すんです。情報が遮断されている状態のなかで、これでは話についていくしかない。判断機能が落ちたお年寄りでなくとも騙されるのはやむを得ないと思います」

   内多「騙されない対策は何かありますか」

   荒井「良い投資か悪い投資かなどを自分で判断できるという考えを捨てて、お金の話でかかってきた電話は切る習慣をつけることが大切です」

   お金がないと生きづらい世の中だから、儲け話につい乗りたくなる気持もわかるが、だからこそ電話でうまい話が転がり込むことなどあり得ないということを肝に銘じておくことだろう。

NHKクローズアップ現代(2013年11月13日放送「急増!老後マネーを狙う投資詐欺」)

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