ショパン「別れの曲」で突然よみがえった動物園のカバの記憶…今の自分とどこでつながっているかな…

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「あぁ、なんだか懐かしい」

   あるドラマを見ていたら、ショパンの別れの曲が効果的に流れてきた。その時、子どものころに見た動物園のカバのドキュメンタリーで使われていた音楽だと記憶がよみがえってきた。たしか両親と一緒に見ていたNHKのドキュメンタリーだった。動物園のカバが死んだ時かなにかの映像に使っていた気がする。

   今から思うと、ディレクターかプロデューサーの強い思いれがあったに違いない。そうでなければ視聴者の脳裏に残るようなあのような映像空間は作れない

   この仕事をしていると、制作サイドの人間は誰しも同じような体験を何度かしている。記憶に残りその映像に影響されてこの世界に足を踏み込んだ者。あの番組があったからこそ今の自分がいるというような経験。ある音楽や映像を見た瞬間に子どもの頃の記憶がまざまざとよみがえってくる者。とにかく、子どもの頃の体験というのは白紙に描いていくようなもので強烈な印象を残す。

バーのママの告白「お祭りの見世物小屋の看板に初めての性的興奮」

   ある夜、こんな会話がバーで繰り広げられた。今の自分を形成した子ども時代の経験は何だったか。各々の過去を振り返り、今と直接的、もしくは間接的に影響を与えていたことを思い出し始める。仕事だけでなく、その後の人格形成につながっていることをそれぞれひも解き始めた。

   その時、バーのママが言った話にハッとした。「私、小学校低学年のくせに、お祭りの時の見世物小屋に興奮したんだよね。看板に描かれてるのが、鼻からヘビを出している女の人なんだけれど、それが随分とおバアさんでさぁ。でも、それが初めての性的興奮だったかもしれない」

   見世物小屋って確かにあった。最近ではあまり見かけることもなく、メディアでは扱いに細心の注意を払うジャンルである。けれど、今では味わえない当時の思い出が強烈に蘇る。お祭りの日、いつもの神社の参道が突如変わる。その看板はおどろおどろしくて、描かれた女性はエロティシズムをたたえ薄幸な雰囲気に満ちていた。

簡単に情報が手に入るいま…子供たちの心に残る記憶はあるののだろうか

   今は知りたいと思えばいつでも情報は手に入るし、いろいろ世界を味わえる。昔とは違いいくらでも知識を得ることができる。今やタブレットがおもちゃとなっている子どもたちは、今後どのような発見をしていくのだろう。なぜか覚えているあの映像、あの光景が将来の仕事に通じていくのか。そんなことを考える余裕があれば、いま差し迫った企画を詰めないといけないのは重々承知なワケだけれど、ちょっと考えてしまう。

   あのドキドキ感。今は親が設定したセキュリティーガードを飛び越えて自分ならではの世界を見つけていく子どもたち。そんな彼らが20年後、30年後のテレビを作っていくとなると、どんな世界を見せてくれるのだろう。とにもかくにも、彼らに影響を与えるような番組を作らないと話は始まらないのだけれど。

モジョっこ

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