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年賀はがき『自爆営業』郵便局員たちノルマこなすため数万円の自己負担

   今月1日(2013年11月)から売り出された年賀はがきが、その日のうちに大量に金券ショップに売られていた。持ち込んだのは日本郵便の社員たちだった。朝日新聞の17日朝刊が報じたが、「朝ズバッ!」も郵便局員から同様の証言を得た。

一人5000~1万枚割り当て。大半を金券ショップ持ち込み

   「自爆営業」というのだそうだ。6000枚とか8000枚とか販売ノルマをかせられた郵便局員が、売れない分を金券ショップに売る。50円の年賀はがきも金券ショップの買い取りは40円程度だから当然足が出る。その分を自分でかぶる。勤務地ではわかってしまうかもしれないので、新幹線で東京へ売りに行ったり、宅急便で遠方の金券ショップに送る。かくして郵便局員の8割がノルマを達成するが、多くが自腹だという。郵便配達員たちがこれを裏付けた。

「今年のノルマは8000枚。金券ショップにいったのは6400枚。残りのうち1200枚が自宅と親戚。今年の損失はだいたい4万5000円くらい」
「手取りで17、8万円かな。自爆は2万円くらい」
「ほかにも、暑中見舞い、母の日、父の日、敬老の日、イベントゆうパックとか入れたら、年間11~12万円くらい会社に払ってますよ」
「イベントゆうパックがいつもあるから、自爆は毎月3万円から4万円」

   年賀はがきは昨年は約33億枚売れた。ノルマは人によって5000枚とか1万枚とか割り当てが違う。

「(達成できないと)班からも同僚からも責められる。『なぜやらない』『いつ達成するのか』と。個人別の売り上げの表を毎日見てます」
「注文するのは、一般的な普通紙の無地とインクジェット。理由はショップの買い取り価格が高いからです。高くても1枚43円ですがね」
「(上司に)呼び出されえて、机叩いてどなられたり、『いついつまでにどれだけやります』と一筆書かされたり。11月1日に一気に数字が上がる人っていうのは、(金券ショップに)売ってますよ」
「配達エリアが2つ3つあると、そこに(営業が)3人、4人、5人と入ってきますから、みんなが取り合いできびしい。この時期は配達が増えるので、こっちは営業している時間はないです」
「ノルマやめてほしい。働くのがあほらしくなる」

日本郵便「金券ショップに持ち込まないよう社員に周知」…違うだろ!

   日本郵便に関わってきた弁護士は、「ノルマが普通の勤務時間の中で消化できるのであれば問題はない。しかし、時間内でできない、あるいは内勤の人に販売ノルマを課すのは、明らかに業務命令として違法」という。

   日本郵便は、「金券ショップへの持ち込みの事実は把握している。今後ないよう不適正な営業行為としてコンプライアンスに違反する旨を社員に周知していきます」という。そういうことじゃないだろうに。

   司会の井上貴博アナ「自爆営業とはすごい言葉ですね」

   杉尾秀哉(TBS解説委員室長)「パソコン通信で年賀はがきが減っている。それだけきついということじゃないかな」

   井上「それでも年賀はがきに依存しているのでしょうか」

   杉尾「全体の1割といわれています。利益もいいということだと思います」

   潟永秀一郎(「サンデー毎日」編集長)「金券ショップはダメといったら、全部自腹の人が出るかもしれない」

   日本郵政の株式は国が保有している。普通の会社とは違う。また、郵便は公共サービス的なものだ。民営化したからといって、一般会社なみのノルマを課すこと自体に無理がある。