破産宣告したアメリカのデトロイト市の想像を絶するドキュメントである。かつては自動車の街として日本の教科書にも載っていた有名都市が、外車に押されて斜陽になっただけでなく、アメリカ国内の自動車会社も沈む船からネズミが逃げ出すように他に移転してしまったために、法人税が入らなくなって破産したのだ。
市の中心部8マイルほどの地区に住む低所得層は厳しい生活を余儀なくされている。失業率40パーセント、交通信号も壊れたままで消えている。マーケットには強盗が入る。ゴミ集めも放棄されている。まるでゴーストタウンのようなビルの前をパラパラと黒人が歩いている。この都市の再生はなるのかと密着している報告だ。
筆者はデトロイトの惨状を見ながら他の事が頭に浮かんだ。他人ごとではない。わが日本の地方都市へ行くと、かつては大抵の街に駅前の繁華な通りがあったが、今はどこへ行ってもシャッター街だ。だいぶ前に、香川県の丸亀市に所用があり、昼時にうどんでも食べようと思ったが駅前に1軒も開いている店がなかったのだ。
讃岐うどんで有名な香川県で、である。地元民は車で遠くのスーパーへ出かければいいが、旅人には情けない事態だ。洋の東西を問わず、産業の衰退と人口減少、日本では超高齢化による信じがたい都市の過疎化がゴーストタウン現象を頻発させている。デトロイトは再生プログラムが動き出しているが、わが地方都市は如何?(放送2013年11月16日22時~)
(黄蘭)
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